本日の注目通貨

ドル/円:下も堅いが、上も113円さえ届かず

 先週金曜日(7日)に発表された米国の11月雇用統計は、非農業部門雇用数の増加が事前予想の+20万人に対して+15.5万人、しかも10月分は+25万人から23.7万人へ下方修正されるという結果に終わりました。

 平均労働賃金は前月比+0.2%上昇しましたが、予想の+0.3%より低かったうえ、10月分も+0.2%から+0.1%に下方修正。前年比については予想と変わらず+3.1%でしたが、ベース効果のおかげだとすると、来月もこの強さを維持できるか疑問です。

 全体として11月の雇用統計は、予想を下回ったばかりではなく、過去分まで下方修正されてパッとしない結果に終わりました。とはいえ、失業率は過去最低水準となる3.7%(正確には3.671%)を保っているわけで、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを取り止めるほどの悪さではないという評価に落ち着きました。ドル/円が動かなかったのはこれが理由でしょう。実際、適度な強さの労働市場というのは、FRBが利上げを急がないという点において、株式市場にとっても必ずしも悪い状況ではありません。

 ところが、NYのダウ平均株価は一時600ドルを超える大幅下落。雇用統計に米景気ピークアウトのサイン見て悲観に傾いたせいだと思われますが、米中貿易摩擦が悪化していることも大きい理由です。G20の後に、へたに希望を持たされてしまっただけに、失望はより深くなっています。

 ドル/円は、雇用統計発表後に112.80円近辺から112.62円までストンと落ちましたが、10分も経たずに112.91円まで反発。しかし、日中の高値112.93円を超える前に力が衰えNY時間午後には112.56円まで押し戻されました。終値112.68円で最近のレンジを抜け出すことはできませんでした。

 

ユーロ/ドル:1.14ドル台へ

 米雇用統計の発表後、ユーロ/ドルは1.1360ドルから1.14ドル台へ急上昇。その後もしっかりとしてNY時間午後には1.1423ドルまで上値を伸ばしました。ただこのゾーンは、この3週間ブレークできずにはね返されている領域。今週は2018年最後のECB(欧州中央銀行)会合が開かれます。(チャート2)