「銀」投資で覚えておきたい注意点!

図:銀の消費量の推移(世界合計) 単位:トン

出所:トムソンロイター・GFMSのデータをもとに筆者作成

 銀の消費量(世界合計)は、近年おおむね横ばいで推移しています。消費の増加は価格上昇を連想させますが、銀の場合、その消費は横ばいです。では、どの分野で消費が伸び悩んでいる、あるいは減少しているのでしょうか?

 上図のとおり、主力の消費分野である電子部品が横ばいです。コイン&地金バーにおいては、2015年をピークに2016年、2017年と大きく減少しました。写真フィルムも減少、宝飾品が微増、太陽光発電が増加となっています。

 太陽光発電での消費が増加傾向にあります。エコの観点から将来、この分野での消費増加が期待されます。同じ金属の“銅”がこの分野での競合と言われ、銀よりも安価であること、銀と同等の伝導性であることなど、銀の消費増加の起爆剤になるか課題があります。

 写真フィルムにおいては、私たちの生活の中で身近に感じられるとおり、デジタルカメラの急速な普及が銀の写真フィルム向けの消費量を減少させました。また、近年はデジタル化が進み、医療用のレントゲン向けや映画のフィルムにおいても、銀のフィルム向け消費は今後も減少する可能性があります。

 銀価格の大きな変動要因である消費が今後伸びてゆくかは、主力の電子部品と宝飾、コイン&地金バーの分野がいかに回復するかがカギと言えます。

 また、宝飾向け消費におけるランキング1位のインド、2位の中国について、それらの消費量の推移をみてみると以下のようになっています。

図:インドと中国の宝飾向け消費量の推移 単位:トン
 

出所:トムソンロイター・GFMSのデータをもとに筆者作成

 中国の減少をインドが補う格好となっています。特に2016・17年は、インドでは天候に恵まれ農村部では可処分所得が増えたとされています。同国の個人消費の拡大につながる農村部での可処分所得の増加は、宝飾向け消費を増加させる要因になります。

 銀の消費量の変化を見る上で、全体的には世界経済の動向、部分的にはインドの宝飾用消費の動向が注目点と言えます。