米国株・中国株が反発した流れを受けて、日経平均も急反発

 10月に入ってから世界株安に飲まれて日経平均株は急落。しかし、先週は、米国株や中国株が反発した流れを受けて、日経平均も1週間で1,059円上昇し、2万2,243円と急反発しました。

日経平均週足:2017年10月2日~2018年11月2日

 

 日経平均の週足チャートを見ると、上値抵抗線として市場で意識されているのが2万3,000円・2万4,000円で、下値抵抗線として意識されているのが2万2,000円・2万1,000円【注】であることが分かります。

【注】テクニカル分析において、2万1,000・2,000・3,000・4,000といったちょうど切りの良い数字が、節目となる必然性はないですが、日経平均については、多くの市場参加者が切りの良い数字を売り買いのメドとすることが多いので、そこが節目となる可能性が高くなります。

 先々週、日経平均が2万2,000円で下げ止まらず急落。しかし先週は、なんとか2万1,000円で下げ止まり、一気に2万2,000円台まで戻って一息ついたところです。

 ただし、これで日経平均が下げ止まったと考えるのは早計です。日経平均反発のきっかけは米国株の反発です。米国株は反発したものの、以下の通り、週足チャートで見ると、まだ下げの勢いを打ち消す強さがありません。

NYダウ週足:2017年10月2日~2018年11月2日

 

米ナスダック総合指数週足:2017年10月2日~2018年11月2日

 

 NYダウは、日経平均とよく似た形状です。一方ナスダックは、かなり異なる動きとなっています。9月までは、ナスダックの強さが際立っていましたが、10月以降は、一転して弱い動きとなっています。先週の反発もナスダックは鈍く、上値の重い展開が続きそうです。

 ナスダックは、フェイスブック、アマゾン、グーグル、ネットフリックス、マイクロソフト、アップルなど、世界のITインフラを支配しているIT大手の比率が高いことで知られています。米IT大手は貿易戦争の影響を受けにくく高い成長が見込まれると考えられてきましたので、NYダウや日経平均が貿易戦争の不安で下げる時も、最高値更新を続けました。

 ところが、ここに来て下げ足を速めているのは、米IT大手に対し、欧米で課税や規制を強化する動きが出ているためです。最初のきっかけは、今年3月に発覚した「フェイスブック・ショック」です。

 フェイスブックは世界中の個人情報を独占的に獲得しているにもかかわらず、情報漏えい対策が不十分だったために、重大な情報漏えいを起こしました。そこで、欧米でフェイスブック・バッシングが始まり、フェイスブック株が急落。同時に、同じような問題を抱える米IT大手が一斉に急落しました。

 ところが4月以降、米IT大手は一斉に買い戻され、ナスダック指数が最高値更新を続ける原動力となりました。「いくら社会的非難が高まっても、米IT大手が世界のITインフラを支配して巨額の利益を稼ぐ構造は変わらない」との考えに基づき、投資資金を、さらにIT大手に集中させる動きが広がりました。

 順調に上昇してきたナスダックですが、再度10月以降、下げがきつくなっています。米IT大手への社会的批判、課税や規制強化を検討する動きはその後も続いています。それでも、高成長が続くと見られてきたIT大手の業績にやや伸び鈍化の兆しが出たことが嫌気されています。

 今、出てきている7-9月決算が注目を浴びています。米IT大手は軒並み増益ですが、それでも、決算発表後に、株価が売られるケースが増えています。好調とは言っても、事前の市場予想をやや下回る例が多いこと、個人情報保護を強化するための対策費が増えてきていることが嫌気されています。

 ナスダック底入れには、まだ時間がかかりそうです。