業況悪化局面で独占的地位を強化へ、米中摩擦の影響は限定的か

現地コード 銘柄名
03606

福耀玻璃工業集団

(フーヤオ・ガラス・インダストリー・グループ)

株価 情報種類
 25.00HKD
(10/26現在)
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 福耀ガラスの18年1-9月期決算は、売上高が前年同期比12.9%増の151億元と、6月中間期の同15.7%から減速傾向を示した。主に国内自動車市場の低迷(新車販売は7-9月にマイナス成長)によるもので、海外売り上げは高い伸びを維持した。為替差益や北京福通安全ガラスの持ち株譲渡益の計上が寄与し、1-9月期の純利益は同52.2%増の33億元。非経常項目を除くと、税引き前で約10%の増益となり、ほぼBOCIの予想通りだった。7-9月期には販売費と一般管理費が増大したが、BOCIによれば、これは一時的な現象で、同期の粗利益率は予想を上回る水準。また、米国の生産基地は着実に軌道に乗り、18年通期の純利益が4,000万-5,000万米ドルに達する見通しとなった。BOCIは新車市場の低迷を受けたガラス業況の下降局面において、同社の独占的地位や競争力がさらに高まるとの見方。また、対米ドルの元安局面では、同社株への投資がヘッジ手段になり得ると指摘し、同社のH株、A株の先行きに強気見通しを継続した。

 1-9月期は前年同期比12.9%の増収だったが、うち国内売り上げは3.7%増、海外売り上げが22.9%増。製品構成の改善が寄与し、平均販売価格は3.0%上昇した(為替要因を除く)。四半期別に見ると、増収ペースは4-6月期の前年同期比18.2%から、7-9月期は7.5%に減速したが、これも国内向けの伸び悩みが原因。新車生産台数が5.6%落ち込んだことで、BOCIは同期の国内売り上げが2-3%減少したとみている。

 7-9月の粗利益率は44.1%と、前期の42.0%、前年同期の42.5%を上回った。主に◇元安を受けた輸出業務の利幅拡大◇米国工場の利益率改善◇福建三鋒集団の買収効果によるもの。BOCIによれば、福建三鋒集団などとの統合を受けた効率化で、短期的にはさらに売上高費用率が低下する見通しという。

 元安を受けた為替差益は7-9月に2億4,300万元、1-9月では3億400万元(前年同期は3億400万元の差損)。BOCIは今後も元安による恩恵が続くとみている。

 一方、トランプ米政権は年間輸入額500億米ドルの中国製品に対して25%の制裁関税を課した後、9月24日にはさらに2,000億米ドル分を対象に10%の制裁関税を発動したが、この分には一部、同社製品が含まれる。ただ、BOCIは他の自動車部品メーカーとは異なり、独占的な地位を持つ同社は、追加関税分を顧客に転嫁することが可能との見方。また、米国での生産基地の存在も有利に働くとみて、平均販売価格や粗利益率へのマイナス影響は限定的としている。

 BOCIは18-20年の予想純利益を39億元、42億元、47億元に据え置いた(18年予想は北京福通の権益譲渡益を含まない)。H株の現在株価の18年、19年予想PERはそれぞれ14.3倍、13.1倍。A株は14.8倍、13.5倍で、配当利回りはAH株ともに4.0%超。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに強気見通しを継続した。