17年5月中間期も業績好調、地理的多様性の後退が懸念材料に

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銘柄名 株価 情報種類
01299

友邦保険控股有限公司
(AIAグループ)

 59.50 HKD
(7/31現在)

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AIAグループの2017年5月中間期の新契約価値(VONB)は17億5300万米ドルに上り、実質為替レート(AER)ベースで前年同期比39%、恒常為替レート(CER)で同42%の伸びを記録。香港や中国本土、その他一部市場の好調を受け、予想を上回る水準に達した。4-6月期の新契約価値は前年同期比27.4%増で、前期比では1.7%減だった。BOCIは何より、香港および中国本土市場に対する同社ビジネスの依存度が高まっている点に注目している。年初から36%値上がりした同社株価の17年予想P/EV倍率(株価EV倍率)は2.0倍と、中国本土系生保銘柄の平均0.9倍を大きく上回るが、今後は本土系銘柄のファンダメンタルズの改善を受け、両者のバリュエーション格差が縮小に向かうと予想。AIAグループの目標株価を下方修正し、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

5月中間決算を見ると、税引き後営業利益(OPAT)は前年同期比16%増の22億6000万米ドル。運用収益の力強い伸びを受け、純利益は同41.2%増の29億3000万米ドルに達した。年換算の新契約保険料収入は同35.7%増。新契約マージンは同1.5ポイント上向いた。同社は1株当たり0.256HKドルの中間配当を行う方針であり、前年同期比では17%の増配となる。

BOCIは引き続き、同社ビジネスの質を高く評価しながらも、最近の新契約価値の伸びがほぼ、香港・本土に依存していることを懸念している。同社株価のプレミアムバリュエーションの根拠となってきた地理的多様性という強みが後退しつつあることが理由。こうした傾向は過去2年にわたって続いており、香港・本土市場が新契約価値、EV(エンベデッドバリュー)、税引き後営業利益に占める割合は、すでに68%、50%、51%まで上向いた。その他の主要市場を見ると、タイやシンガポール、マレーシア、オーストラリアなどで保険料収入の伸びが減速しており、この先いつごろ状況が好転するか見通しにくい。地域構成比の変化を受けて商品構成比も変わりつつあり、配当付貯蓄型商品の比重が拡大傾向にあるという。

AIAはすでに中国の富裕エリアの大半をカバーしているが、BOCIの分析によれば、特に天津市、浙江省、福建省、山東省、重慶市においては、本土系生保各社の成長潜在力が同社を上回る。こうした地域では1人当たりGDPが8000米ドルを超える一方、生保加入率が依然低水準にとどまっている。

BOCIは地理的多様性という同社の強みが弱まっているとの見方から、目標株価に当てはめるP/EV倍率を下方修正。これに伴い目標値を引き下げ、株価の先行きに対する見方を中立的に変更した。今後のレーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスクとしては、株式市況の大幅な悪化を挙げている。