手法1:個別銘柄を信用売り(空売り)する

 個別銘柄を空売りし、その後株価が値下がりすれば、その差額だけ利益を得ることができます。1,000円で1,000株空売りし、株価が800円まで下がったところで決済すれば、(1,000-800)×1,000=20万円の利益を得ることができます。

 もしこの間、空売りをせずに株価下落を眺めているだけでは利益を得ることができません。空売りを使うことで、下落相場で守るのではなく、積極的に利益を獲得しにいくというスタイルを取ることができます。

 空売りを含めた信用取引を行うためには、信用取引の口座を開設する必要があります。空売りの注意点などについては、別の機会にお話したいと思いますが、「損切りは厳守」「逆張り(株価上昇途中の空売り実行)は厳禁」の2つは必ず守るようにしてください。

 

手法2:日経平均株価の先物を空売りする

 空売りは、慣れていない方にとっては抵抗を感じることもあるようです。今まで株価上昇による利益を目指していたのが、逆に株価下落で利益を目指すということに対しピンとこないからかもしれません。
 そこで、個別銘柄の空売りに抵抗がある方は、日経平均株価の先物を空売りするという方法もあります。

 一般的に、個別銘柄よりも日経平均株価の方が値動きはゆるやかです。同じ金額を空売りするのであれば、日経平均先物を空売りする方が、得られるリターンこそ小さくなるものの、損失のリスクも小さく抑えられます。

 ただし、今年のように、日経平均株価はあまり値下がりしないのに、多くの個別銘柄は値下がりしてしまう、というような場合は、空売りの効果が見込めないこともあります。

 先物取引を行うためには、別途先物・オプション口座を開設する必要がありますので、取引の前にあらかじめ開設を済ませておきましょう。

 

手法3:インバース型のETFを買う

 筆者は、下げ相場で空売りをすることで利益を得るということには抵抗はありませんし、空売りのリスクをよく理解したうえで実行しています。
 でも個別銘柄、先物問わず「空売りは怖い」とか「空売りはリスクが高い」と尻込みしてしまう方も少なくないかもしれません。

 さらには、空売りをするには信用取引口座の開設が、先物売りをするには先物・オプション口座の開設がそれぞれ必要となります。投資初心者にはハードルが高いことは否めません。

 そんな方が代替案として使えるのが、インバース型のETFを買うことです。「インバース型」とは、ETFの対象となっている株価指数(日経平均株価やTOPIXなど)の値動きと逆の動きをするETFのことです。

 例えば日経平均株価が10%値下がりすれば、インバース型のETFの価格は逆に10%値上がりするイメージです。

 ですから、株価の値下がりによる利益を「売り」ではなく「買う」ことによって得ることができるのです。信用取引口座も先物・オプション口座も不要で、個別銘柄のように買うことができるのがインバース型ETFの特徴です。

 なお、中には株価指数のマイナス2倍の値動き(つまり日経平均株価が10%値下がりすれば20%値上がり)をする「ダブル・インバース型」もあります。ただこのタイプは商品設計上、長期的にみると株価指数のマイナス2倍よりも小さいマイナス幅(マイナス1.5倍など)にとどまる傾向があります。ダブル・インバース型は比較的短期間の株価下落を狙うという使い方がよさそうです。

 別の回で、それぞれの手法を詳しく見ていきたいと思いますが、これから先もずっと株価上昇が続くと思うのは早計です。
 いつ本格的な長期下落相場に移行してもおかしくありません。そうなる前に、株価が下落しても利益を得られるようにするための手法をマスターしておきましょう。