投資信託保有後に気をつけること

 投資信託(ファンド)の購入後も基準価額は日々動いています。ポートフォリオの資産配分比率が自身の意図したものから大きく外れていないか、定期的に見直しすることが大切です。

ポートフォリオの資産配分比率例

上記はポートフォリオの資産配分比率の一例であり、すべてのポートフォリオに対して当てはまるものではありません。

 ファンドの基準価額や資産配分比率については、月次レポートなどで確認する方法もあります。詳細は「マンスリーレポートを読もう」で後述します。

 基準価額が変動し、資産配分比率が変化することで、結果的にポートフォリオのリスクが意図せず大きくなったり、小さくなったりするので、当初の目標としていたリスク、リターンと大きく外れていないか、定期的に見直すことが大切です。

 

目標を達成するために、すべきこと

 目標までの残存期間や現在の運用状況に合わせて、ポートフォリオの資産配分や組み入れ資産の変更を検討することも大事なことです。また、必要に応じて目標自体を設定し直すことも大切です。

 下記ではケースごとの見直しポイントを挙げます。

想定以上に運用がうまくいっている

目標金額に大きく近づいたことにより、配分比率が大きくなった投資信託の資産の一部を売却して利益を確定し、債券などのリスクの低い資産を主要投資対象とした投資信託を購入することを検討してみるのも一つの方法です。

 

投資国の経済が安定した

経済が安定するとその国の資産のリスクは小さくなる傾向にあります。それに合わせて、その国の資産を主要投資対象とする投資信託のウェイトを増やすのも一つの方法です。

 

収入が増えた

収入が増えた分、その一部を投資に回したり、より大きくリスクをとることが可能になることもあります。投資金額を追加することや、ポートフォリオの目標リターンを高く設定しなおすのも一つの方法です。

 

なぜ見直しが必要なの?

 資産運用をする上では、短期的な値動きに惑わされないことが大切です。

 一方で、長期投資を考えた場合、目標までの残存期間はもちろん、運用状況や目標そのものが変わることも珍しくありません。

 そういった状況に備えて適切に運用状況を把握しておくことは、資産運用の重要なポイントの一つといえるでしょう。

 

マンスリーレポートを読もう

 運用会社や取り扱い販売会社では毎月、マンスリーレポートを提供しています。ファンドの運用状況やマーケット動向・今後の見通しなどを確認することができ、これらは各社のウェブサイトで見ることができます。

 マンスリーレポートは毎月更新されるため、ファンドについてはもちろん、マーケット全体についての新しい情報を得ることも可能なツールといえます。

 アセットマネジメントOneのマンスリーレポートを例に、得られる情報を解説します。

 

A. ファンドの運用概況を確認

 一般的に、マンスリーレポートの最初のページには、基準価額、分配金再投資基準価額の推移や騰落率、純資産総額の推移などが示されています。

 分配金再投資基準価額とは、ファンドの税引前分配金を再投資したものとして計算を行い表示した基準価額のことです。

 分配金再投資基準価額は実際の運用成果とは異なりますが、ファンドのトータルリターンを表し、分配方針が異なるファンド間の運用成果を比較するのに適しています。

B. 過去の分配金実績、決算日を確認

過去の分配金実績、決算日が確認できます。

 

C. ファンドに組み入れられた資産を確認

 組み入れ資産の推移、組入上位銘柄など、レポート作成時点の投資信託の状況などが把握できるようになっています。

 債券に投資しているファンドは債券の格付別構成比率など、海外に投資しているファンドは国別投資比率やどんな通貨に投資しているかなど、REITに投資しているファンドはREITを区分けする「オフィス用」「ホテル用」といった業種別構成比率などを確認することができます。

D. 要因分析を確認

 ファンドによっては、ファンドの値動きの要因を分析して掲載している場合もあります。
組み入れ資産や為替の値動き等が基準価額にどんな影響を与えたかを確認できます。

E. 為替の動きを確認

 外貨建資産に投資するファンドの場合、基準価額は為替相場の変動による影響を受けます。
そのため、ご参考として、為替の動向を掲載している場合があります。

E. 参考指数などを確認

ファンドによっては、参考指数やベンチマークとされる指数の推移が掲載されている場合もあります。
ファンドの基準価額の値動きとどの程度かい離しているかなどを確認しましょう。

F. ファンドマネジャーのコメントを確認

 ファンドマネジャーによる、先月のマーケットの解説やファンドの運用状況等が確認できます。

G. 今後の運用方針を確認

 マーケット動向をもとにした今後の運用方針が記載されています。