銀行セクター

 7月に発表された2018年第2四半期では、ウェルズファーゴ(米国で最も支店数が多い金融機関。ティッカーシンボル:WFC)を除く各行が増益を記録しました。 

 

 ウェルズファーゴの業績が振るわない理由は、架空口座開設問題の後遺症を今でも引きずっているからです。かつてウェルズファーゴは、行員に厳しいノルマを課すことで常に業界トップの業績を続けていました。しかしムリな営業目標が、広範囲に及ぶ行員のごまかしにつながったのです。

 そこでウェルズファーゴはすべてのノルマを廃止しました。これは監督当局や行員にとってはホッとする措置でしたが、それ以降、同行の業績は「漂流」しはじめます。つまり昔とは打って変わって「ちゃんとした四半期決算が出せない銀行」になってしまったのです。

 第2四半期は、株式トレーディングの環境が良好だったためモルガン・スタンレー(ティッカーシンボル:MS)やゴールドマン・サックス(ティッカーシンボル:GS)のような株式部門に強い投資銀行が他社をアウトパフォームしました。

 第3四半期のトレーディング環境に関しては第2四半期よりやや悪化したと見るべきでしょう。

 同様にM&A(企業の合併、買収)に代表されるアドバイザリーの案件も、ここへきて若干ペースが落ちてきている印象があります。

 バンク・オブ・アメリカ(ティッカーシンボル:BAC)とシティグループ(ティッカーシンボル:C)は第2四半期トレーディングが不振でした。全体的にトレーディングが低調な環境で、これらの銀行がうまく立ち回れるかに注目したいと思います。バンク・オブ・アメリカは、とりわけ長短金利差の拡大のメリットを受けやすい銀行なので、同行の純金利マージンが拡大しているかどうか注視したいと思います。

 JPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)は、総合力の点に於いて他行より頭ひとつ抜きん出ています。いちばん安定感のある経営がされている、と言い直すこともできます。10月12日から始まる第3四半期の銀行株決算発表に注目したいと思います。