18年6月中間期は24%増益、粗利益率の改善が鮮明に

現地コード 銘柄名
02196

上海復星医薬(集団)股フン有限公司

(シャンハイ・フォサン・ファーマスーティカル)

株価 情報種類
 29.40HKD
(9/4現在)
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 18年上期決算の予想下振れに加え、子会社の品質偽装疑惑に絡み「当局が査察を行う」との情報が明らかになったことで、上海復星医薬の株価は3月の高値(53.78HKドル)から約40%大きく下げた。BOCIは下落後の株価が19年予想PER16.3倍、PEGレシオ0.8倍と、エントリーポイントとしては魅力的な水準に達したとの見方。さらに、高い研究開発力やバイオシミラー(バイオ後続品)の商品化、ジェネリック薬の同等性評価における主導的地位、多様性が高く国内医薬品業界を象徴するビジネスモデルなどに言及し、短期的な支援材料となるべきこうした要因が軽視されていると指摘した。STOP(サムオブザパーツ)方式に基づいて利益モデルを見直し、目標株価を大きく引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 子会社の重慶医薬工業研究院(CPRI)の品質偽装疑惑を受け、8月30日には当局が生産施設を査察すると伝わった。BOCIは、上海復星医薬株の不安定な動きが続くと予想しつつ、◇浙江華海薬業による心臓病薬のリコール、◇長春長生生物科技による狂犬病ワクチンの不正スキャンダル(いずれも7月)など、国産医薬品の信頼を損なう一連の不祥事が、今回の一件にも影響したとの見方。実際のところ、CPRIによる上海復星医薬への利益貢献は17年にわずか0.42%だったとし、市場の過剰反応を指摘した。

 18年6月中間決算は、売上高が前年同期比42.2%増の117億6,700万元、純利益が同7.6%減の15億6,000万元。売上高がBOCIの予想を1%上回る一方、純利益は6%下押しした。◇子会社・奥鴻薬業の減益◇販売費、研究開発費、納税額などの増大◇関連会社である国薬控股(01099)の利益貢献の縮小などが響いた。

 BOCIは18~20年の予想売上高を小幅に調整するとともに、予想純利益を15~17%減額修正した。販売及び一般管理費および研究開発費の対収入比率の上昇を反映させたため。18年、19年、20年の予想増益率はこれで、前年比5%、19%、15%となった。

 同社の新薬候補を見ると、HLX01(認可待ち)、HLX02(第3相試験中で、18年6月にアコード・ヘルスケアにライセンス供与)、HLX03および04(いずれも第3相試験)など、複数のバイオシミラーが含まれる。ほかには低分子医薬品(復創医薬研究有限公司を通じて初期研究段階)、CD19CAR-T(米カイト・ファーマとの合弁開発薬で、臨床試験が認可された)などがある。

 BOCIは医薬品製造、病院経営、医療器械、流通という4部門について、それぞれ19年予想PER20倍、20倍、20倍、14倍をあてはめ、SOTP方式を通じて目標株価を設定した。新たな目標株価の19年予想PERは22倍となる。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因としては、パイプライン、M&Aおよび経営統合、政策などを挙げている。