9月相場入りとなった先週の日経平均ですが、週末の9月7日(金)に22,307円で取引を終えました。前週末終値(22,865円)からは558円安、週足ベースでは3週ぶりの下落に転じ、またしても「23,000円台乗せ定着」とはなりませんでした。

 何はともあれ、下の図1で足元の状況を確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年9月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 まずは値動きです。日経平均は週を通じて下落基調を辿りました。先週末を含めて6日続落となっています。ローソク足も6日(木)以外は陰線だったほか、移動平均線との絡みも、25日・75日・200日のすべてで下抜けとなっています。

 確かに、米国の通商政策(カナダとの貿易協議の難航や、中国への制裁関税第3弾発動への警戒、次の標的は日本との観測)をはじめ、米株市場で牽引役となっていたハイテク株の軟調、相次いで日本を襲った自然災害(台風や地震)など、これだけ悪材料が多ければ、下落も止むを得ないのかもしれませんが、むしろ、「これだけ悪材料に見舞われながらもあまり相場は崩れなかった」と前向きに捉えることもできます。

 週末7日(金)が下ヒゲの長いローソク足になっていたほか、下値も切り上がる格好となっていて、23,000円を上値メドとした「三角保ち合い」が続いています。この三角保ち合いは2段階に分かれ、前半は保ち合いが拡大する形、後半は保ち合いが縮小する形になっています。

 また、週足のチャートで見ても、52週移動平均線がサポートして機能しています(下の図2)。

■(図2)日経平均(週足)の動き その2(2018年9月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 こうして見ると、日経平均は頑張って耐え忍んでいるような印象です。このまま相場が崩れずに乗り切れると、不安が一巡した後に年末相場に向けた期待が高まるといったシナリオも描くことができます。

 足元では、今週も悪材料への警戒感が燻る中で、週末にメジャーSQが控えるなど、引き続き値動きの荒っぽさには注意が必要となります。「レンジの幅を想定しつつ、下値を拾って短期的な反発で利益を狙う」というのが基本スタンスとなりそうですが、とはいえ、最近は値動きが慌ただしく、売買のタイミングを掴むのは容易ではありません。

 そこで、エンベロープを値動きの目安として捉えて見ます(下の図3)。

■(図3)日経平均(日足)のエンベロープ(2018年9月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 

 エンベロープとは「封筒」という意味で、指定した移動平均線の乖離線を描いて株価のローソク足を包み込むような見た目にしたものです。一般的に、日足チャートでは25日移動平均線を中心にしますが、上の図3では、25日移動平均の±3%と±6%の乖離線を描いています。

 移動平均線は一定期間の値動きの中心線ですので、株価が移動平均線から大きく乖離すれば「相場が行き過ぎ」と考えることができます。では、どのくらい乖離したらそう判断される傾向にあるのかを探るものとしてエンベロープは使われます。

 あらためて図3を見ると、日経平均は多くの場面で±3%の範囲内で推移し、大きなトレンドが発生して相場が動くときには±6%のところが目安になっていることが判ります。

 最後に、念のために注視しておきたいのがTOPIXの動きです。

■(図4)TOPIX(日足)の動き その2(2018年9月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 TOPIXは先週の下落によって、株価水準が上昇前のところまで押し戻されていることや、移動平均線が下向きになっているなど、日経平均よりもチャートの形が悪くなっています。

 また、図1の日経平均は下値が切り上がる三角保ち合いになっていると紹介しましたが、TOPIXの方は上値が切り下がる三角保ち合いとなっています。両者ともに悪材料に耐えている形ではありますが、TOPIXは下値に対してあまり余裕がない格好になっています。

 従って、直近安値である8月の1,667pや7月の1,671pを下抜けてしまうと下落トレンドへの意識が強まってしまうため、TOPIXの動向もウォッチしていく必要がありそうです。