18年6月中間決算は57%増益、原油高とコスト管理の強化が奏功

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(シノック(CNOOC))

株価 情報種類
 12.84HKD
(8/24現在)
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 CNOOCの18年6月中間決算は、純利益が前年同期比57%増の255億元に達した。原油実勢販売価格の34%の上昇に加え、コスト管理の強化が利益押し上げに寄与した。アルゼンチン事業の減損損失は予想以上に膨らんだものの、純利益はBOCIの予想を4%上回る数字。BOCIは探査事業の好調にも目を向け、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 18年上期も引き続き、同社はコスト管理の強化において成果を挙げた。原材料および燃料コストの増大を受け、1BOE(石油換算バレル)当たりの操業コストは前年同期比12%増の8.0米ドルに膨らんだが、製品構成の変化や資源埋蔵量の拡大を受け、減価償却・減耗償却(DD&A)費が減少。これにより、費用全体は1BOE=31.83米ドルと、ほぼ横ばいで推移した。

 アルゼンチンでの合弁事業の純損失は18年上期に65億元と、BOCIの予想(30億元)の2倍以上に膨らんだ。現地通貨ペソの下落や金利の急上昇が背景。ただ、それでもコスト管理の強化などでこうしたマイナス要因をカバーし、同社全体では予想を上回る利益水準を達成した。

 同社は18年上期に、中国のオフショアで新たに6カ所の油田を発見。ほかに同社のPSC(生産物分与契約)パートナーがガイアナで2カ所を発見した。また、中国オフショアでは事前評価を通った油田・ガス田33カ所の掘削を行ったが、うち渤海の2カ所は1億トン級である可能性が高いという。ガイアナでは権益25%を保有するスタブロック鉱区の油田で探査作業が進行中であり、これを合わせると、同社の可採埋蔵量は40億BOEを超える見込み。BOCIはこうした状況を受け、将来的な生産量の伸びを楽観している。

 同社は純粋な探査・生産会社(川下の精製事業などを持たない)。同社株を保有する投資家は人民元為替相場の下落リスクに対し、自然にヘッジを行っているというメリットがある。

 BOCIは中間決算の発表後、SOTP(サムオブザパーツ)方式に基づく評価額をやや調整し、目標株価を小幅に引き下げた。16年前半に原油相場が底を打った後には、目標株価の算出に際し、対NAV(純資産価値)の株価プレミアムの中位数(現在の対NAVプレミアムは16.4%)を1標準偏差上回る評価基準を採用している。一方、レーティングの見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因として、BOCIは原油価格の急落の可能性、新規プロジェクトが遅延する可能性を挙げている。