先週末8月24日(金)の日経平均は2万2,601円で取引を終えました。節目の2万2,500円を回復してきたほか、前週末の終値(2万2,270円)からは331円ほど上昇し、週足ベースでも4週ぶりの反発となっています。

 前回のレポートでは、ローソク足の並びが陰線と陽線が繰り返し表れ、相場に対する見方が強弱で分かれている状況を意味する「鯨幕(くじらまく)相場」になっていることについて触れました。その後の日経平均が上昇したところを見ると、相場のムードはやや強気に傾き始めたようにも感じられますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 まずはいつもの通り、下の図1で足元の状況を確認します。

■(図1)日経平均(日足)の動き(2018年8月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 あらためて先週の日経平均の値動きをたどると、週初は下落して始まったものの、その後は上昇が続く展開となりました。

 先週末終値(2万2,601円)が節目の2万2,500円台を回復したことは冒頭でも述べた通りですが、さらに値を伸ばした2万2,600円台は、8月10日に日米閣僚級のFFR(新貿易協議)やトルコ情勢をきっかけに株価が下落する前の水準です。さらに、各移動平均線(25日、75日、200日)もすべて上抜けてきました。

 また、下の図2はおなじみの日経平均の平均足とMACDですが、平均足が陽転した後にMACDがクロスしていて、短期的なトレンドは上向きになっています。さらに、今週MACDが0円ラインを超えることができれば上値トライの期待度は高まりそうです。

■(図2)日経平均(日足)の平均足とMACD(2018年8月24日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 

 その一方で気になる点もいくつかあります。そのひとつは薄商いです。東証1部の売買代金の動向をウォッチしていくと、先週を含め、6日連続で活況の目安とされる2兆円に届いていません。
 売買代金2兆円割れがここまで続いたのは2017年8月21日から29日(7日連続)以来ですので約1年ぶりになります。

 もっとも、当時はこの後しばらく下落したのち、9月上旬からの今年1月にかけて続いた本格上昇トレンドへとつながったため、さほど心配しなくても良いのかもしれませんが、売買に厚みがない中での値動きは不安定になりがちなため、「このまますんなりと上昇相場に入る前に一波乱あるかもしれない」ぐらいは留意しておく必要はありそうです。

 そしてもうひとつは、中長期のトレンドです。下の図3は週足日経平均の線形回帰トレンドです。

■(図3)日経平均(週足)の線形回帰トレンド(2016年6月24日を起点)

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 

 図3では、トレンドの中心線を挟んで±1σ(シグマ)と±2σが描かれていますが、それぞれ、「強気」、「やや強気」、「やや弱気」、「弱気」のゾーンとして捉えることができます。

 先週末時点の日経平均は上昇したとはいえ、まだ弱気ゾーンのところに位置しているため、先週の株価上昇は「弱気の中の強気」だったと言えます。このまま、やや弱気ゾーンへ踏み込むことができるかが今週の焦点になりますが、過熱感がない分、まだ上値の余地が残されていると見ることができます。

 ただその一方で、TOPIXでも同じように週足の線形トレンドを見てみますと、こちらは弱気ゾーンを下抜けている状況が2週にわたって続いていて、弱気の中で踏みとどまっている印象になっています(下の図4)。

■(図4)TOPIX(週足)の線形回帰トレンド(2016年6月を起点)

出所:MARKETSPEED for Macを元に筆者作成

 

 先週の株価上昇は、米中の事務次官級の会合や米国の経済イベント(ジャクソンホール会合)でのパウエル米FRB議長の講演などが控える中、売り込むよりもある程度の株価の戻りを試した方が利益を狙いやすいと判断されたことによるものと考えることができます。となると、足元の相場は下方向への粘り腰を見せながらも、中長期的な上昇トレンド復活への道筋はまだ見えていない状況なのかもしれません。

 そのため、基本的な投資スタンスは今週も上方向への意識継続がメインになりますが、風向きが変わった際には早めに手仕舞いする準備をしておくことが重要になると言えそうです。