「株主優待がもらえるから…」で判断をゆがめてはならない

 筆者が考える、最もやってはいけない投資手法は、キャピタルゲインを重視して投資したにもかかわらず、株価が下落したときに「株主優待をもらえるから売らずに持ち続けよう」としてしまうことです。つまり、投資手法のすり替えです。

 筆者は、同じ株式投資でも、キャピタルゲインを重視する投資手法と、インカムゲインを重視する投資手法とは全くの別物としてとらえています。キャピタルゲインを重視して投資する場合は、値上がりを狙う一方で、意に反して株価が値下がりしたり、業績が悪化するなどした場合は保有株を売却する必要があります。

 一方、インカムゲインを重視する投資は、利回りが高くなるように銘柄や買い時を選び、株価が値下がりしたとしても原則として長期間保有を続けます。

 キャピタルゲインを重視した投資手法では、買った株の株価が下落した場合、それは「見込み違い」だったことを意味します。速やかにその株を売却しなければ、さらなる下落で多額の含み損を抱えてしまいます。

 それなのに、売却せずに「株主優待があるから持ち続けよう」というのは、誤りを認めずに現実から逃げているのと同じです。

 仮に百歩譲って保有し続けるとしても、やはり「利回り」でみて保有し続けることに合理性があるかどうかで判断すべきです。

 利回りが2~3%程度しかないのでは、インカムゲイン重視の投資としては利回りが低すぎますので、保有を続けるべきではありません。最低でも5%、できれば8%以上の利回りが欲しいところです。

 しかし現実には、そのような条件を満たした銘柄は少ないです。やはり投資する段階でキャピタルゲイン狙いかインカムゲイン狙いかをあらかじめ決めておき、それぞれに合った投資スタイルを貫くべきです。つまりキャピタルゲイン狙いなら値下がりしたら売却、インカムゲイン狙いなら長期保有ということです。

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