日経平均は、上値抵抗線「2万3,000円」を超えられず

 先週の日経平均株価は、1週間で227円下落し、2万2,298円となりました。上値抵抗線として意識されている2万3,000円に近づくと、売りが増えて、打ち返される展開が、5月以降続いてきました。上値の重さが意識され、先週の日経平均は薄商いの中、続落となりました。

 先週は、米中貿易戦争がエスカレートする不安、トルコリラ(トルコの通貨)急落、中国景気の減速懸念が、日経平均が売られる要因となりました。当面、日経平均は2万1,500円から2万3,000円の範囲で推移すると予想しています。

日経平均週足:2017年7月3日~2018年8月10日

 

 

好悪材料は、引き続き「がっぷり四つ」

 今週の日経平均は、引き続き上値の重い展開となりそうです。今後も貿易戦争の不安と、トルコリラ急落が日経平均の上値を抑えそうです。とは言え、下値もそこそこ堅いと考えられます。

 薄商いの中、様子見を決め込む投資家が増えそうです。「夏枯れ」というより、猛暑の中の「夏バテ」相場となりそうです。

貿易戦争の先行き、どうなる?

 貿易戦争が、エスカレートしつつあるのか、「落としどころ」に向けて収束しつつあるのか、まったく読めません。7月25日に、トランプ米大統領とユンケル欧州委員長が、米―EU(欧州連合)間で、新たな貿易交渉に入ると合意すると、米欧貿易戦争への不安が後退し、日米の通商交渉も悪いようにならないと期待が生まれました。

 ところが先週米中貿易戦争がどんどんエスカレートする雲行きとなったことから、再び、貿易戦争への不安が広がりました。

 先週、9~10日、ワシントンで、日米のFFR(新貿易協議)の初回会合が開かれました。ここで、問題解決に向けて、何らかの進展があることが期待されていましたが、協議は9月の次回会合へ持ち越しとなりました。

 日本で一番心配されているのは、米国が自動車の輸入関税(現在2.5%)を25%に引き上げる検討をしていることです。これが実施されると、自動車産業に深刻なダメージが及びます。ただし、先週は何も決められなかったため、相場材料となりませんでした。

 

トルコリラの急落は、新興国危機の引き金となるか?

 トルコリラの急落が続いています。対外負債残高の大きいトルコの信用悪化が背景にあります。トルコ在住の米国人牧師の拘束で、トルコが一段と米国との対決姿勢を強めていることも不安材料となっています。

 ただし、もっと重要な要因は、米国が利上げを続けていることです。それで、新興国からマネーが流出し、米国に集まる傾向が続いています。通貨ドルが強く、米国株は堅調です。反面、新興国の通貨下落・株価下落が堅調になってきました。特に、過重債務国である、トルコ、南アフリカ、アルゼンチン、ベネズエラ、ブラジルなどの通貨の下落が目立ちます。

 

中国景気、どうなる?

 貿易戦争の影響で、中国景気にやや減速感が出ています。中国政府が、公共投資増額を示唆しており、中国景気が持ち直すとの期待も出ていますが。予断を許しません。

 

4-6月決算:実績は良いが、先行きに不安が高まっている

 日本の4-6月決算発表が終盤に入っています。4-6月の実績は良好ですが、先行きに不安が強まっていることから、通期見通しについて、企業は慎重な見通しを変えていません。

 

米国株は堅調

 米景気は好調で、米国に世界のマネーが集まる傾向は、変わっていません。NYダウ・ナスダック株価指数とも、堅調に推移しています。

NYダウ週足:2017年7月3日~2018年8月10日

 

米ナスダック株価指数週足:2017年7月3日~2018年8月10日

 
 
 

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