18年中間決算は予想下押し、親会社から資産買収計画を疑問視

現地コード 銘柄名
00902

華能国際電力

(ホアネン・パワー)

株価 情報種類
 5.69HKD
(8/2現在)
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 華能国際電力の18年6月中間決算は予想を下押しし、決算発表後のカンファレンスコールで経営陣が示した下期の業績見通しもさえない内容となった。BOCIは下期の電力販売量について前年同期比7%の伸びを見込む一方、ダークスプレッド(電力価格から石炭調達費を差し引いた収益)が同6%縮小するとみている。また、同社は親会社から総額18億元で発電資産を取得する計画を発表したが、この計画に関しても、価値の点から少数株主に不利益が及ぶとの見解であり、前途多難となる可能性を指摘。18~20年の利益見通しの下方修正に伴い、同社の目標株価を引き下げ、株価の先行きに対する従来の強気見通しを中立的に引き下げている。

 18年通期の単位当たり燃料調達コストについて、経営陣はこのほど「前年比2%増」との見通しを示し(上期は5.84%増)、「同5%減」としていた従来予想を大きく修正した。また、経営陣は事実上値引き対象となる「市場化」価格ベースの電力販売契約が全体の38~40%に上る見通しを示しており、下期には上期(36.9%)比で、この割合が上向く可能性が高い。BOCIは石炭価格の下落を受け、下期のダークスプレッドが上期を上回るとみているものの、前年同期比では6%縮小するとの見方。これが販売量の伸びによるプラス効果を打ち消すとみている。

 一方、下期には経済活動の減速が電力需要に影響すると予想。下期の電力販売量について、前年同期比7%増との予想を明らかにしている。下期の平均販売価格については、ほぼ4~6月並みの1kWh当たり0.415元を見込む(前年同期では1.1%低下)。

 同社は中間決算の発表に伴い、親会社から山東省の発電会社4社(うち2社は17年決算で赤字計上)を総額18億元で取得する計画を発表した。買収価格は、対象資産のPBR(株価純資産倍率)換算で1.7倍。これに対し、同社の現在株価のPBRはH株が0.85倍、A株も1.32倍にすぎず、買収価格のPBRは相対的に割高。BOCIは少数株主にとって、この取引はバリューの低下を招くとしている。

 BOCIは各種想定値の見直しに伴い、18年、19年、20年の予想純利益をそれぞれ19%、12%、8%減額修正し、DCF(ディスカウントキャシュフロー)方式に基づいて目標株価を引き下げた。新たな目標値は18年予想PBRで0.8倍となる。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある同社の潜在リスク要因としては、ダークスプレッドや設備稼働率が予想と乖離する可能性を挙げた。

 BOCIはまた、華能国際電力だけでなく、その他の発電銘柄に関しても収益予想を見直す方針を明らかにしている。電力銘柄の中で、BOCIが株価の先行きに強気見通しを維持しているのは華潤電力控股(00836)のみ。ダークスプレッドの縮小リスクが比較的小さいことなどを華潤電力控股に対する強気見通しの理由としている。