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ドルと利上げの方向を決める重要な手がかりに?雇用統計に再び脚光
荒地 潤
今月の米国雇用統計
どうなる為替と世界経済!? 米国雇用統計発表前にその予測をお伝えします。

ドルと利上げの方向を決める重要な手がかりに?雇用統計に再び脚光

2018/8/1
・米国の7月雇用統計予想は、失業率は3.9%に低下、NFPは+19.5万人の増加、平均労働賃金は前月比+0.3%
・米雇用市場は堅調だが、トランプ大統領は「利上げは良くない」と発言
・貿易戦争の激化で米国労働市場に悪い影響が出はじめているか否かという点に注目
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 今週の金曜日、8月3日に発表される米国の7月雇用統計は、失業率は3.9%に低下する一方、NFP(非農業部門雇用者数)は+19.5万人の増加、また平均労働賃金は前月比+0.3%という予想になっています。(表-1)

表-1 過去3ヵ月の推移と今回の予想値 

※矢印は、前月からの変化

 

米雇用市場は堅調さ保つ

 米雇用市場は堅調で、失業率はFRB(米連邦準備制度理事会)が予想するより1年近くも早いペースで下がっています。非農業部門雇用者は前月ほど伸びていませんが、それでも平均すると今年は毎月20万人近く増加。米国経済の勢いが雇用統計に反映されています。(表2,3)

 パウエルFRB議長も「米国の経済成長はかなり強い」と米議会で証言しています。そのうえで「段階的な利上げを続けるのが最善」の見解を示しました。FRBは今年すでに3月と6月の2回利上げしていますが、パウエル議長の自信に満ちた発言を聞いて、年内あと2回追加もありえるとの見方が増え始めました。

 

トランプ大統領「利上げ良くない」

 ところが、トランプ米大統領がTVのインタビューで「利上げは良くない」と発言。マーケットに突然冷や水を浴びせました。トランプ大統領に言わせると、いくら投資や減税を積み上げても、そのたびにFRBがやってきて、せっかくの努力を水の泡にするというのです。もちろんパウエル議長が「わかりました、利上げやめます」と従うわけがありませんが、景気の邪魔をしているといわれ、FRBとトランプ政権との対立を印象づけたことはマイナスです。

 実は、FRBの内部にも追加利上げに慎重な意見を持つメンバーがいます。ブラード・セントルイス連邦準備銀行総裁はその一人で、「利上げを遅らせるべきだ」と発言しています。トランプ大統領に賛同しているわけではなく、ある意味その逆で、関税問題を懸念してのことです。

 ベージュブック(米地区連銀経済報告)には「すべての地区の製造業者が関税への懸念を表明した」との報告が寄せられました。貿易戦争の深刻化&長期化で、年末に向けて米国経済にブレーキがかかることを予見したブラード氏は、利上げは年内あと1回で十分だと意見したのです。同様の意見は今後FRBの内部で増えてくるかもしれません。

 

今回の雇用統計のポイントは?

 今回の雇用統計は、貿易戦争が激化するなかで、それでも米国の労働市場は力強さを保つのか、あるいは悪い影響が出はじめているのか、ということに注目が集まりそうです。

 結果が予想より強ければ、「米経済はまだまだ強い」という安心感で、マーケットがドル買いに動くことも考えられます。ただしトランプ大統領は「ドル高は米国の競争力を奪う」と文句をつけていますので、上値追いには慎重になりそうです。反対に予想より弱ければ、「これダメなやつ!」となってドル/円の売りが強まるでしょう。

 これまでは、NFP(非農業部門雇用者数)や平均労働賃金が予想を下回っても、マーケットは楽観的に解釈して、ドルの下落も限定的でした。しかし、今回のマーケットは逆に、悲観に傾きやすくなっているようです。

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