体型データの取得が同社のアドバンテージになる

 PBの進捗については現時点で様子見ですが、他社に先駆けて人々のリアルな採寸データを集計できたことは同社の財産になります。これまで誰も、日本に、どのような体型の人がどの程度いるのか分かりませんでした。それが分かるようになったことは大きな成果です。長期的にはこのデータを活用して、アパレルのデザイン開発や生産面の効率化を進めていくことができると思います。

 

投資判断:長期的に見て「買い」だが、買うタイミングを選ぶべき

 高い収益性と成長性を満たす同社は、長期保有に適した銘柄です。ただし、年初来で34%上昇しており(7月23日時点)、短期的にはやや過熱感があると考えられます。株価が下がったところで拾うと、投資効率が良いと思います。なお、PBの進捗が会社側の目標通りに進んだ場合は、市場のコンセンサスが上方修正され、株価は一段高になると考えられます。

スタートトゥデイの株価推移(2018年7月20日現在)

上段:株価(円)(週足)
下段:出来高(百万株)
出所:楽天証券ホームページ

 

採寸+PBカテゴリーのリスクはアマゾン・ドット・コム

 リスクは、他社がより容易な採寸手法を導入することです。スタートトゥデイも、より簡単に採寸できるテクノロジーを開発するとみられますが、この分野ではアマゾン・ドット・コムも開発を進めています。

 アマゾン・ドット・コムは2017年に、人間の3Dモデルにバーチャルな服を着せる技術を持つ「Body Labs(ボディー ラボス)」を買収。2018年には、人物にバーチャルな服を投影できる鏡を開発し特許を出願したと報じられています。体型に合うのみならず、仮想空間における試着レベルを高めて、見た目や雰囲気でも満足できる方向を模索しているようです。

 アマゾン・ドット・コムはAIのファッションアドバイザー機能を搭載した内蔵カメラ端末の「Echo Look(エコールック)」を既に販売しているため(日本では未発売)、将来は、自宅で内蔵カメラ端末を使ったバーチャル試着ができるようになるのかもしれません。

 同社は米国を中心にアパレルのPBや、サブスクリプション(定期購入)方式の「プライム・ワードローブ」も始めています。バーチャル試着が完成すれば、PBなどと組み合わせて日本を攻める可能性があります。