高ROE企業は利幅を大きく取れるビジネスモデルを築いている
高ROE企業が高い収益性を実現している最大の理由は、重い固定費がかからず、利幅が大きく取れるビジネスモデルを築いている点にあります。それを反映して、営業利益率も高水準です。下の図のとおり、カカクコム(2371)の営業利益率は49%に上ります。スタートトゥデイの営業利益率も33%に達しています。同社の場合、ROEに好影響を与える他の要素(自己資本比率と総資産回転率)も寄与して、ROE第1位のポジションを獲得しています。
高ROE企業上位5社の営業利益率と自己資本比率
コード | 銘柄名 | 売上高営業利益率(%) | 自己資本比率(%) |
---|---|---|---|
3092 | スタートトゥデイ | 33.19 | 57.71 |
2371 | カカクコム | 48.90 | 78.50 |
3765 | ガンホー・オンライン | 37.25 | 76.00 |
2127 | 日本M&Aセンター | 47.13 | 69.30 |
3064 | MonotaRO | 13.40 | 53.85 |
出所:楽天証券「スーパースクリーナー」
注:営業利益率および自己資本比率は前期実績
スタートトゥデイは高い集客力を確保、在庫リスクを負わないモデル
スタートトゥデイは、コストを抑えつつ大きな利幅を取れるビジネスを築いています。理由は以下2点です。
- B to Cのアパレルプラットフォームとして高い集客力を確保している
- 自らは在庫の売れ残りリスクを負わない
1.B to Cのアパレルプラットフォームとして高い集客力を確保している
スタートトゥデイはアパレルのオンライン販売サービスとして強固な基盤を築いています。年間購入者数は722万人(2018年3月期)、年間商品取扱高は同2,705億円に上ります。矢野経済研究所によると、2016年の国内アパレル総小売市場は9兆2,202億円で、このうち1兆4,527億円が通販などの販路でした。比較する時期がずれますが、単純計算すると、通販などの販路のうち約19%がスタートトゥデイのシェアとなります。
スタートトゥデイとアマゾン・ドット・コムを比べた場合、優位性はスタートトゥデイにあるとみられます。スタートトゥデイのほうがアパレルに特化している分、ストレスなく欲しいものを探すことができると考えられるからです。
ネットでショッピングをする場合、UI(ユーザーインターフェース)が非常に重要な役割を果たします。UIとは、ユーザーと商品・サービスの接触面を指します。オンラインショッピングでいうと、ホームページのデザインや掲載されている商品の見た目です。これがユーザーにとって分かりやすいものであれば、消費者は楽しくネットショッピングをすることができます。
特にアパレルは、一つ一つの商品に特徴があり嗜好性もあるため、UIをアパレル向けに特化するほうが、ユーザーの快適度が高まると考えられます。ZOZOTOWNでは、色、価格帯、発売日、などを選んで簡単に商品を絞り込むことが可能。保存したお気に入りアイテムの画像を容易に確認できるほか、様々なコーディネイト画像を閲覧することもできます。
2.自らは在庫の売れ残りリスクを負わない
同社の主要ビジネスモデルは受託形式です。スタートトゥデイに出店するショップの運営管理を引き受けることによって、各ショップから商品取扱高に合わせた受託手数料を回収します。この手数料が同社の売上高になります。商品が売れ残った場合の値引きや在庫処分のコストは、基本的にショップ側が負います。
ショップの中には、ECサイトを立ち上げて、自らオンライン販売の管理をしようとする動きがあります。ただし、ファンの多い大きなブランドでなければ、スタートトゥデイの集客力と運営管理サービスを享受して手数料を支払った方が効率的とみられます。