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円建てダウ平均上昇と東証セクター別物色変化
香川 睦
3分でわかる!今日の投資戦略〔平日毎朝8時掲載〕
楽天証券経済研究所の窪田真之と香川 睦が、日本株市場の分析と投資戦略をレポートします。 ともに元ファンドマネージャーであり、国内外のマーケット動向に精通。運用者、分析者としての幅…

円建てダウ平均上昇と東証セクター別物色変化

2018/7/20
・「円建てダウ平均」の280万円台乗せは2月2日以来
・実勢為替レートが「想定為替レート」を上抜けた意味
・東証のセクターローテーション(業種別物色)に変化の兆し
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「円建てダウ平均」の280万円台乗せは2月2日以来

 米国市場では7月13日、ダウ平均(ダウ工業株30種平均)が約1カ月ぶりに2万5,000ドル台に戻す堅調をみせました。各種経済指標が米景気堅調を示唆したことや、米政府や金融当局者が「米国経済の好況持続」に自信を示し、4-6月期・決算発表が好調に推移していることなどが要因です。

「先進国経済のなかで米国が独り勝ち」との見方も反映し、為替市場でドル円は一時113円に達する堅調となりました。こうしたなか、ダウ平均を円換算した「円建てダウ平均」と日経平均の高い相関性に注目したいと思います。

 2010年以降の市場実績では、円建てダウ平均と日経平均の「相関係数」は0.98(決定係数=0.96)と計算できます。いわば、「円建てダウ平均と日経平均の連動性は9割以上だった」と言える高相関性です。

 先週、円建てダウ平均は2月2日以来約5カ月ぶりに「280万円台」を回復。18日は284万円超まで上昇しました(図表1)。2010年以降で回帰分析すると、中心傾向線は「円建てダウ平均×0.0075+2294円」と計算できます。逆算すると、日経平均は2万3,600円程度まで上昇して不思議ではありません。

 貿易摩擦の行方に予断は許されませんが、米国株高と円安の同時進行は、外国人投資家のリスク選好度を総じて改善させ、日経平均の上値余地を徐々に拡大させている可能性があります。

図表1:円建てダウ平均と日経平均の相関性は高い

出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月18日)


 

実勢為替レートが「想定為替レート」を上抜けた意味

 為替市場でドル円が年初来の下落分を埋め戻した動きが業績見通しに与える影響にも注目です。今年初めのドル円は112.63円(NY市場終値)でしたが、その後のドル軟調で104.74円まで下落(3月23日)。上下動やレンジ推移を経て今週は113円前後に値を戻しました。

 図表2は、日本銀行が3カ月ごとに発表する「短観」(企業短期経済観測調査)で示される「大企業製造業の平均想定為替レート」(経営計画レート)、実勢為替レート、日経平均及び200日移動平均線の推移を示したものです。ドル円の実勢レートが想定レートを下回って下落すると、日経平均が200日移動平均線(中期支持線)を下抜けた経緯がみてとれます。

「実態として為替が業績にどの程度影響するか」よりも、「想定を上回るドル安・円高は日本株売り(日経平均は下落)、「想定を上回るドル高・円安は日本株買い(日経平均は上昇)」とのイメージにもとづく売買が先行してきたことを示します。実勢レートは現在112円台後半で推移しており、日銀が7月2日に公表した短観で示された最新の想定為替レート(107.26円)を明確に上抜けたことがわかります。

 今年度の業績見通し(経営計画)の前提となる想定為替レート(当初計画)の具体例としては、トヨタ自動車が105円、ファナック、コマツ、日本電産などが100円と円高気味に設定していたことが知られています。これは、3月にドル安(円高)が進んだ局面で各社が設定した想定レートでした。今後、大手グローバル企業の決算発表が本格化するなか、業績見通しの上振れ要因として注目されます。 

図表2:大企業製造業の想定為替レートと実勢レートの逆転

 注:想定為替レート=日銀・短観が示す「大企業製造業の平均想定為替レート」(ドル円) 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月18日)


東証のセクターローテーション(業種別物色)に変化の兆し

 前述した米国の景況感と為替相場の変化を反映し、足下の国内市場では「セクターローテーション」(業種別物色)に変化の兆しがみられます。図表3は、東証17業種別指数を「7日前比騰落率」の降順でランキングしたものです。トランプ政権が打ち出す保護貿易政策や貿易摩擦の不安が上値を抑えていた「自動車・輸送機」が第1位(+3.4%)に浮上しています。

 対米輸出にせよ米現地生産・販売にせよ、米景気堅調と為替の円安は自動車や自動車部品の連結ベースの業績見通し改善に繋がりそうです。2017年初来騰落率で低迷(-6.6%)していただけに、外部環境改善を契機に「出遅れ感」が見直されやすい状況と言えます。

 その他、「鉄鋼・非鉄」、「機械」、「電気・精密」、「素材・化学」といった景気敏感業種の復調が目立ちます。7日前比騰落率で第2位の「運輸・物流」には、JR各社や空運株が含まれています。国内企業の業績拡大で出張需要が堅調であることに加え、インバウンド(訪日外国人旅行客数)増勢を受けた外国人の移動需要拡大が業績好調の背景となっています。短期の投資戦略を検討するにあたっては、こうしたセクターローテーション(業種物色変化)の兆しにも注目したいと思います。

図表3:「7日前比騰落率」でみた東証のセクター(業種)別ランキング
           
# 東証
17業種別
指数
直近
指数値
7日前比
騰落率
:%
7月初来
騰落率

:%
2017
年初来
騰落率

:%
1年前比
騰落率

:%
1 自動車・輸送機 229.46 3.4 2.5 -6.6 6.8
2 運輸・物流 184.82 3.3 -1.4 -1.4 8.0
3 医薬品 239.50 2.9 4.5 8.1 17.7
4 情報通信・サービス他 231.47 2.5 3.2 3.4 10.1
5 銀行 112.80 2.5 1.8 -13.9 -5.2
6 鉄鋼・非鉄 212.08 2.4 -1.1 -20.1 -8.4
7 機械 369.76 2.3 0.1 -13.4 4.1
8 エネルギー資源 172.87 2.3 4.9 -0.9 42.8
9 電機・精密 198.33 2.2 1.2 -3.8 11.2
10 素材・化学 277.33 2.1 0.8 -2.6 10.4
11 不動産 312.42 2.1 0.1 2.0 7.6
12 商社・卸売 385.15 2.0 0.7 -2.1 18.1
13 小売 232.16 2.0 -2.5 1.0 15.6
14 金融(除く銀行) 134.23 1.8 0.7 -5.0 1.9
15 建設・資材 279.20 1.4 0.5 -9.3 3.4
16 食品 338.40 1.2 -2.8 -5.8 0.8
17 電力・ガス 78.91 1.0 0.5 11.6 5.6
注:上記は東証17業種別指数を「7日前比騰落率」で降順にランキングした一覧です。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月19日)


 

 

 

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