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 中国国家統計局が7月17日に発表した6月の「主要70都市新築住宅価格動向」によると、『住宅価格』が前月比で上昇した都市数は70都市中63都市となり、5月の61都市からさらに増加しました。米国との貿易摩擦により景気への影響が懸念されますが、住宅市場が堅調に推移すれば、消費の拡大を通じて、景気の押し上げ要因になると期待されます。

 

【ポイント1】6月の価格上昇都市数は63都市

5月の61都市からさらに増加

 2018年6月の「主要70都市新築住宅価格動向」によると、主要70都市のうち、前月比で価格が上昇したのは63都市と、5月の61都市から2都市増加しました。なかでも、北朝鮮との国境沿いの丹東市など一部の地方都市は+3%を超える上昇となりました。

 一方、価格が下落したのは4都市と、5月の7都市から減少しました。下落率は0.1~0.3%程度でした。また、北京、上海、厦門の3都市では価格が横ばいでした。

 

【ポイント2】高まりつつある『住宅価格』の上昇率

『住宅価格』は2月を底に上昇傾向

 当社の分析によれば、主要70都市の新築住宅価格を1人当たり所得で加重平均すると、6月は全体で前月比+1.03%と、5月の同+0.76%から伸び率が拡大しました。中国の『住宅価格』は、直近では2月の同+0.13%を底として上昇傾向となっています。

 

【今後の展開】住宅市場が堅調に推移すれば、消費拡大により景気を押し上げ

『住宅価格』の前日に発表された中国の4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.7%と、前期の同+6.8%から伸びが鈍化しました。政府は、2018年の成長目標を同+6.5%前後としており、中国景気は緩やかに減速する見込みです。一方、米国との貿易摩擦により今後景気が影響を受ける可能性もあります。

 国家統計局はGDP等が発表された日の記者会見で、2018年後半の不動産投資は堅調との楽観的な見通しを示しました。このため、中国政府は住宅を含めた不動産業を強制的に抑制する意図はないように見受けられます。住宅市場が年後半も堅調に推移すれば、消費の拡大を通じて、年後半以降の景気の押し上げ要因になると期待されます。