預金規模や資産の健全性が強み、国内のデレバレッジ環境下で抵抗力

現地コード 銘柄名
01658

中国郵政儲蓄銀行

(ポスタル・セービングス・バンク・オブ・チャイナ)

株価 情報種類
 4.91HKD
(7/5現在)
 株価
 企業情報
 チャート

 中国版ゆうちょ銀行に当たる中国郵政儲蓄銀行は現在、預金型の商業銀行から本格的な商業銀行にシフトするための過渡期にある。強い預金基盤や堅実な資産配置、資産の優れた質、預貸率(LDR)の低さなどが同社の特徴であり、BOCIは中国国内のデレバレッジ(過剰債務の解消)サイクルを容易に乗り切ることができると指摘。こうした優位性が年初からの株価の好調にも表れているとした。ただ、ディフェンシブ性というアドバンテージはすでに、ほぼ株価に反映されたとの見方。同行のカバレッジを開始するに当たり、株価の先行きに対して中立見通しを付与している。

 同行は特殊な直営ビジネスに代理店ビジネスを加えたリテール型の性質を持ち、かつ預金獲得で優位にあるという点で独自性が高い。親会社の中国郵政集団の巨大ネットワークが強み。また、特に個人向け銀行業務の規模が大きく、業務純益に個人向け業務が占める割合や、個人向けの融資額、預金額では本土銀行銘柄の中でトップの座にある。

 日本のゆうちょ銀行やドイツ・ポストバンクといった海外同業銘柄と比べ、中国郵政儲蓄銀行はスケールメリットや人件費の低さ、地方部での高い競争力、純利益マージン(NIM)の高さ、非金利収益の大きさなどの点で優れ、相対的に収益性が高い。BOCIはまた、同業銘柄との比較で、中国郵政集団向けに支払う預金代理手数料には一段の引き下げ余地があるとみている。一方、同行のビジネスモデルにおける最大の課題点は、代理店舗の業務が基本的な金融サービスに限られることで、金融サービスの高度化に対する地方のニーズに対応できていないとした。仮に同行が代理店スタッフの専門性を高めようとした場合には、人件費の増大圧力が高まるとみている。

 同行のROA(総資産利益率)は相対的に低水準にあるが、これは親会社に対して預金代理手数料の支払いが発生することや、役務取引等利益(純手数料収入)の割合が小さいことなどが原因。預貸率の低さも、ある程度影響しているという。ただ、BOCIは預金面の優位性や堅実な資産配置、資産の健全性、コスト・インカム・レシオ(経費率)の改善見通し、預貸率の上昇傾向などから、ROAがこの先上向くとの見方だ。18~20年の予想ROAを0.59%、0.63%、0.64%に設定。さらに予想ROE(株主資本利益率)を12.9%、13.0%、13.2%に設定し、この3年間の増益率については前年比12.6%、14.9%、11.2%を見込んでいる。この予想増益率は同業銘柄平均を上回るという。

 BOCIは割引配当モデル(DDM)に基づいて目標株価(18年予想PBRの0.87倍相当)を設定。年初からの21%の値上がりを受け、同社株価がほぼ適正水準に達したとして、先行きに対して中立見通しを付与した。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、中国のマクロ経済リスクや自己資本不足の可能性(資本増強に向けたA株上場計画を取り巻く不透明感)を挙げている。