株価下落を好機に「好利回りバリュー株」を選別

 株価が総じて下落したなか、配当利回りが高くPBR(株価純資産倍率)が低い「好利回りバリュー株(銘柄)」を選別してみたいと思います。

 今回の銘柄選別のベースとなる母集団(銘柄ユニバース)は、「JPX日経インデックス400」にしています。JPX日経インデックス400は、2014年1月に算出・公表が開始された比較的新しい時価総額加重平均(浮動株調整後)指数です。東京証券取引所に上場されているほぼすべての銘柄のうち、時価総額、営業利益、ROE(自己資本利益率)等で一定の基準を満たした400銘柄を構成銘柄としています。株主資本の効率的活用、投資者を意識した経営観点など「グローバルな投資基準」を目指す企業を多く含んでおり、(投資家にとり)魅力ある銘柄で構成される株価指数です。「持続的に企業価値を向上しようとしている企業群」とも言えるでしょう。

 こうしたJPX日経インデックス400銘柄を母集団として、下記の「4条件」を満たした10銘柄を一覧表にしました(図表3)。

(1)配当利回り(12カ月累計実績)が3.00%以上である
(2)直近のPBRが1.00倍未満である
(3)ROEが6%以上である
(4)2017年度(2018年3月期中心)EPS(1株当たり利益)に対する2019年度(2020年3月期中心)予想EPSの伸び率(予想増益率/市場予想平均)が10%以上である

 配当利回りやPBR面の割安感だけでなく、2019年度までの業績見通しを加えることで「減配リスク」を低減しようと試みました。株価が下落する場面では、長期的視野に立ち「好利回りバリュー株」に注目したいと思います。

図表3:JPX日経インデックス400の「好利回りバリュー株」

好配当利回りバリュー株(参考情報)
# コード 銘柄名
配当
利回り
(%)
PBR
(倍)
ROE
(%)
17~19
年度
予想 EPS
増益率(%)
1 5411 ジェイ エフ イー ホールディングス 3.91 0.61 7.6 22.6
2 8604 野村ホールディングス 3.77 0.65 7.9 15.8
3 8002 丸紅 3.72 0.95 14.0 17.3
4 8058 三菱商事 3.57 0.92 10.9 13.0
5 5110 住友ゴム工業 3.53 0.98 10.5 10.7
6 5401 新日鐵住金 3.34 0.59 6.4 20.0
7 5703 日本軽金属ホールディングス 3.27 0.87 10.8 15.8
8 8586 日立キャピタル 3.13 0.85 8.8 23.5
9 8078 阪和興業 3.05 0.89 9.7 33.5
10 8309 三井住友トラスト・ホールディングス 3.00 0.63 6.1 15.4

上記は、JPX日経インデックス400構成銘柄のうち下記4条件を満たした銘柄を一覧にしたものです(7月4日時点)。
(1)直近の株価で配当利回り(12ヵ月累計実績)が3%以上である。
(2)PBR(株価純資産倍率)が1.0倍未満である。
(3)ROEが6%以上である。
(4)「2017年度EPS(実績)」に対する「2019年度予想EPS」の伸び率(予想増益率/市場予想)が10%以上である。
注:重大な法的係争を抱える銘柄は除外しました。

注:上記は参考情報であり、いかなる投資成果も保証するものではありません。
出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年7月4日)

 

 

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