11月に「民航発展基金」の還付取り止め、19年以降に収益大きく縮小へ

現地コード 銘柄名
00694

北京首都国際機場

(ベイジン・キャピタル・インターナショナル・エアポート)

株価 情報種類
 8.19HKD
(6/26現在)
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中国政府当局が6月15日、「民航発展基金」(CADF)による北京首都国際機場への資金還付を11月29日付で取り止めると発表して以来、同社株価は30%急落した。還付廃止の影響で、同社の18年、19年純利益はそれぞれ3%、26%目減りする見込み。ただ、BOCIはファダメンタルズや配当政策に変化はないとした上で、市場の過剰反応を指摘し、同社の現在株価が18年、19年予想PERで9.0倍、11.0倍と、非常に魅力的な水準にあるとした。政策変更を受けて収益見通しを減額修正し、目標株価を引き下げながらも、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

「民航発展基金」とは空港を利用する旅客から徴収した資金をプールし、一部空港に対して還付や補助金支給を行う基金。政府当局は少なくとも20年まで徴収を継続する方針だが(20年以降に継続するかは未定)、それより早く、18年11月29日に北京首都国際機場への還付を取り消す方針を決めた。

「民航発展基金」からの還付額が同社航空部門の売上高に占める割合は、13~17年に平均25%。同社売り上げ全体に占める割合は平均14%。17年本決算ではそれぞれ24%、13%だった。これが消えるのに伴い、同社はもともと還付金を受けていなかった上海国際機場(600009)などと同様の売り上げ計上方式を採用する運びとなる。

 同社発表によれば、今回の政策変更により、18年の売上高は最大1億2,000万元目減りする見込み。18年本決算への打撃は軽微だが、その影響が通期フルに反映される19年以降は売り上げ、純利益に大きく響く。ただ、航空機離発着や旅客処理、免税店ビジネスといった中核事業には、何ら影響は及ばない。BOCIによれば、この政策変更の影響で、18年、19年の同社売上高はそれぞれ1.1%、10.5%目減りし、純利益は3%、26%縮小する見込み。BOCIはこの要因に加え、予想を上回る旅客数の伸びを反映させ、18年、19年の予想純利益をそれぞれ1.2%、24.7%減額修正した。

 同社の最新業務統計を見ると、北京首都国際空港の航空機離発着回数は5月に前年同月比5%増の5万2,100回、旅客処理量は同6.8%増の834万9,000人。1~5月の累計では、離発着回数が前年同期比4.2%増の25万3,510回、旅客数が同6.1%増の4,137万4,000人に上った。

 BOCIは収益見通しの減額修正を受け、同社の目標株価を引き下げた。新たな目標値は19年予想PERで14.3倍。市場の評価の後退を反映させる形で、過去3年間の平均値15.0倍を下回る予想PERをあてはめた。これは世界の同業銘柄を大きく下回る水準となる。一方、同社のレーティング見直しにつながる可能性がある潜在的なリスク要因としては、北京首都国際空港から北京第2空港のフライトの移転が予想以上に大規模となる可能性を挙げている。