主要株主の不動産子会社に50%出資、下期に向けて物件販売加速へ

現地コード 銘柄名
03377

遠洋集団

(シノ・オーシャン・グループ)

株価 情報種類
 5.49HKD
(5/11現在)
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 遠洋集団は10日、北京邦邦置業の権益50%を取得すると発表した。北京邦邦置業は遠洋集団の主要株主である安邦保険集団の不動産子会社。ただ、発表によれば、北京邦邦置業はすでに始動している事業を持たないため、今回の取引は資産取得を伴わず、取得代金はゼロとなる。遠洋集団の経営陣によると、北京邦邦置業は今後、安邦保険集団の不動産開発・販売・管理ビジネスを運営することで、一定のパーセンテージでマネジメント料金を受け取る予定という。今回は不動産関連の事業資産の取得を伴わないものの、BOCIは安邦からの将来的な資産買収の可能性という点で遠洋集団が優位に立ったとみて、この取引を前向きに評価。さらに、安邦保険集団が遠洋集団株を売却する可能性も後退したとの見方。遠洋集団の株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

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 一方、遠洋集団の物件販売は堅調であり、2018年1~4月の成約額は前年同期比33.8%増の235億元に達した。下期に着工プロジェクトがさらに増えることから、経営陣は通期目標1,000億元の達成に自信を示している。通期目標を達成するには、年末までに月平均95億6,000万元の成約が必要であり、この数字は前年同月の平均実績を44%上回る。同社の場合、開発用地取得の好タイミングや買収プロジェクトの比重の高さなどから、開発コストが相対的に低いことが強み。BOCIは大都市部で分譲価格が頭打ちになっている状況下にあっても、同社開発事業の粗利益率は約25%を維持するとみている。

 同社にとってはまた、中国政府の「粤港澳大湾区」構想(広東省・香港・マカオ経済の一体化)が追い風。保有用地の20%超がこのエリアに位置するためで、「大湾区」における分譲可能物件は18年に同社全体の約3割に上る見通しという(17年は22%)。深セン市に限ると、保有用地は498万平米超。深センで予約分譲中のプロジェクトは現在わずか2件にとどまるが、BOCIはこの先19年に4件、20年に6件の着工を見込む。

 18年1~4月に新たに取得した土地は400万平米で、権益換算では180万平米。その一方、同期の成約面積は120万平米にとどまっており、手元の開発用地はさらに拡大したことになる。総取得額は288億元で、権益換算では104億元。経営陣は18年末の純負債比率が約70%に上向く見通しを示しているが(17年末は62%)、BOCIによると、財務は引き続き健全。新規の土地取得がROEの向上につながる見通しという。

 同社株価は現在、18年予想PBRで0.6倍、1株当たり予想NAV(11.70HKドル)に対するディスカウント率は54%。一方、18年の予想配当利回りは5.4%に上る。BOCIは18年、19年の予想ROEがそれぞれ10%弱、2桁乗せの水準とし、同社の低バリュエーションを指摘。さらに良質の保有用地や財務の安定性を評価し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。一方、同社の主要都市部での開発事業のウエートは業界平均を上回る点から、潜在リスク要因として政策リスクを挙げている。