インフレが改善基調から悪化へ転じ、通貨暴落
アルゼンチンのインフレ率は2017年の1月に47%でピークを打ちました。その後、上に述べたような体質改善の努力で2017年11月には20.9%まで下がりました。
しかしその後、インフレは再び上昇し、現在は25%を少し超えた水準で推移しています。
一方、アルゼンチン・ペソはダラダラ安を続けていましたが5月に入ってから落勢を強めています。
2016年の景気後退の後、去年景気は持ち直したのですが、その景気回復は(1) 消費、ならびに(2) 投資だけに引っ張られたものでした。その結果、輸入は大幅に伸びたけれど、輸出パフォーマンスはさえませんでした。
下は同国の経常収支です。
現在のアルゼンチンの外貨準備は約500億ドルで、これは輸入の7カ月分に相当します。普通、「通貨危機は外貨準備が輸入の3カ月分を切ったら起きる」といわれています。その意味では、今回のアルゼンチン・ペソ安は、やや「寝耳に水」でした。