節税効果が将来の年金を後押し。会社員なら約120万円の節税に

 ところで私たちがやっぱり一番気になることは、「イデコで将来、いくら増えるの?」でしょう。

 イデコの正式名称の個人型確定拠出年金から想像できますか。イデコは拠出額(掛金)が確定しているけれど、給付額(将来受け取れる年金額)は、運用結果によって加入者個人ごとに変わるものなので、いくらと具体的には言えません。

 ただイデコは運用でお金が大きく増える可能性に加えて、加入期間中の節税メリットも大きな魅力。イデコの掛金の全額が所得控除になるからです。

 節税のシミュレーションしてみましょう。

 課税所得300万円の会社員(27歳)が毎月1万5,000円の掛金を積み立てるとします。年間所得控除は18万円。節税効果は年間3万6,000円。60歳になるまでの33年間では118万8,000円です。

 また課税所得800万円の自営業(43歳)の人が毎月6万8,000円の掛金を積み立てると年間所得控除は81万6,000円。節税効果は26万9,280円となり、60歳になるまでの17年間ではなんと457万7,760円にも。

 この節税効果分を積立元金と運用益に上乗せすれば、会社員に比べて公的年金が少ない自営業の人も安心感が高まります。

 メリットの大きいイデコですが、中途解約はできません。事情により毎月の掛金の支払いを休止はできますが、60歳になるまで掛金で積み立てたお金を引き出すことはできません。そこが逆に、老後に向けた資産形成を強制的にできるため、メリットとも言えますね。

 

イデコはどうやってはじめる?

 イデコをはじめるとき、その窓口となるのは証券会社や銀行、保険会社の金融機関です。その中から任意で1社を選びます。

 このとき、どの金融機関を選ぶべきなのでしょうか。

 実は金融機関により特徴や取り扱う運用商品、加入時や毎月の口座管理などに掛かる手数料などが異なります。手数料のようなコストはできるだけ低いほうがいいので、運営管理手数料0円を目安にしてはいかがでしょうか。ただし運営管理機関以外で掛かる手数料については各社共通です。

 また給与振込口座のある金融機関である必要はなく、ネット証券ではウェブサイトから申し込みができるので、窓口へ出向く手間が省けますね。

 

イデコの運用商品は投資信託がオススメ

 次にイデコは運用商品として、元本確保型と呼ばれる満期時に元本と利息が確保される安全性の高い商品と、元本変動型と呼ばれる運用状況に応じて元本が変動する商品を選べます。

 元本確保型は「定期預金」などの商品で安心感が高いのですが、ゼロ金利時代の今は利息がほとんどつかず、差し引かれる手数料のほうが負担になるかもしれません(節税効果は得られます)。

 一方、元本変動型の「投資信託」は元本が変動する可能性があるからこそ、一方で運用次第で元本を大きく増やせる可能性があります。だからイデコにピッタリな商品と言え、運用商品は途中で自由に組み替え、変更することができます。

・初心者はバランス型

 投資経験がまったくなく、まずは運用を投資信託(投信)にお任せしたいという人は、国内外の株式や債券など、複数の資産に分散投資する「バランス型」を選ぶといいでしょう。

 また退職年齢を目標として投資対象を変える「ターゲットイヤー型」もオススメです。ターゲットイヤー型の投信は退職年齢が近づくにつれて株式の組み入れ比率を緩やかに縮小させる一方で、債券の比率を高くして、安定的な運用を目指すタイプです。

 例えば20代から30代前半の人なら、2050年をターゲットイヤーにした商品を選ぶと、2050年(60代)に近づくにつれて、安定的な運用に切り替わっていくというものです。

・若年層は株式中心でポートフォリオを組んでも

 まだ60歳までに十分な時間があるという若手・中堅世代は、株式中心のポートフォリオを組んで増やすことを意識して運用することもできます。イデコで運用する投信は複数選べるので、投資になれてきたら自分なりのポートフォリオを組んで、リスク分散をしながら、大きな成長を狙うという方法も考えられます。

 

イデコのまとめ

 イデコは「じぶん年金」をつくる手段として、もっともオススメできる制度

 イデコは、証券会社や銀行、保険会社の金融機関にイデコの口座を開設してはじめることができます。

 働き方が変わっても持ち運びができて、節税効果が高く、投信や定期預金で積み立てることができます。ゼロ金利の現在は、投信をうまく活用すれば、積み立てた金額を大きく上回る年金となって、老後を豊かにしてくれることが期待できます。

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