バリュー投資・グロース投資、どっちが魅力的?

 株式投資の代表的スタイルは、2つあります。1つはグロース(成長株)投資、もう1つはバリュー(割安株)投資です。読者の皆様は、どちらのスタイルに近い方ですか?

 私は、25年の日本株ファンドマネージャー経験がありますが、主に割安株への投資で、ベンチマーク(競争相手)である東証株価指数(TOPIX)を上回るパフォーマンスを上げてきました。割安株をコアとして長期保有しながら、成長株で短期売買を繰り返しつつ、サヤをかせぐ戦略です。

 株式投資の初心者は、まず割安株投資から始めた方が良いと思っています。配当利回りの高い大型株が、最初の候補となります。小型成長株も面白いのですが、小型成長株には値動きの荒いものが多く、注意を要します。

小型成長株の株価変動(イメージ図)

出所:筆者作成

 

 上のグラフでは、成長株の株価変動イメージを、3つの時期に分けて描きました。

  1. 黎明期:成長期待があるがまだ利益がほとんど出ない時期
  2. 成長期:利益が大きく成長する時期
  3. 成熟期:最高益更新が続くものの、増益率が大幅に鈍化する時期

 このグラフは、成長株の成功事例をイメージして描きました。黎明期から成熟期まで長く持っていれば、高いリターンが得られます。ただし、それでも、投資タイミングが悪いと、短期的に大きな損失をこうむることがあります。それが、グラフで赤い矢印をつけたところです。

 

株価が割安な銘柄を選ぶことで、投資リスクをある程度抑えられる

 割安株は、言葉をかえれば、「不人気株」です。人気がないから配当利回りが高く、PER(株価収益率)などの株価指標でみて割安でも、積極的な買いは入りにくくなっています。

 一方、多くの成長株は、「人気株」です。成長ストーリーにひかれて多くの投資家が熱狂的に買うので、株価指標で見ると割高な銘柄が多くなります。

 初心者はまず割安株からと私が考えるのは、将来のパフォーマンスに、一般的に以下の関係があるからです。

 

 ここで、一番避けたいのは、4番目のパターンです。初心者が、このパターンにおちいると、損切りができず、ずるずると損失を拡大させることになりやすいので、注意が必要です。

 私は、割高な成長株は短期勝負と割り切って売り買いしていました。みんなが熱狂する株を一緒に買いに行く時は、「株価が下がったらすばやく損切り」を念頭においていました。

 それに対し、割安株に投資する時は、じっくりと長期に持ち、価値が見直されるのを待つ戦略でした。堅実経営の割安株は、投資家の期待が低いので、業績がたいしたことなくても急落することは、あまりありません。人気の成長株とは違って、バタバタと短期で売り買いする必要はあまりないと言えます。