3月26日~30日原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は反落。米国の原油在庫の増加、対ユーロでのドル高が重石となり、売り優勢の展開となった。前々週に約2ヶ月半ぶりの高値を付けた後ということもあり、利益確定の売りに押された。ただし、中東の地政学的リスクを警戒した動きや産油国らの協調減産継続観測から、下値も限られている。

 この週は、月末、四半期末を控え、さらにイースター休暇も重なるため、ドルの実需買いが高まった。前々週にユーロ/ドルが上昇していたこともあり、ドルの巻き戻しの勢いが強まった。ドルが堅調地合いとなったことで、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が低下、相対的な割高感が意識される格好となった。また、米株式市場はこの週小戻したが、直近のダウントレンド内の戻りに過ぎない可能性があり、リスクオン姿勢が強まったとは判断し難いことも間接的な重石となった。

 投機マネーの流れからは下向きのバイアスが掛かりやすい状況下、需給要因からも売りが入った。米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間石油統計で、原油在庫は予想に反して増加した。WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫も増加、さらに原油生産量が過去最高を更新したことも弱材料視された。これらを手掛かりに売りが先行し、WTI期近5月限は一時63.72ドルまで値を冷やす場面もあった。

 ただし、下値も堅かった。サウジアラビアとイランの対立が懸念されるなか、米国がイランへの制裁を再開するとの見方が広がっている。中東の緊張の高まりにより、原油供給に支障が出ることが懸念された。また、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の協調減産に関する思惑も相場を下支えた。サウジアラビアが年末の協調減産終了時期に関して先送りを画策、ロシアを中心とする非加盟国との長期的協力関係を模索していると伝えられている。サウジアラビアのみならずロシアも繰り返し協調減産継続を主張しており、減産継続観測が下値を支えた。需給が引き締まった場合には、次回総会で減産幅削減を検討するとの声も聞かれたが、協調減産している2大産油国が減産継続を支持するのではとの思惑から、市場のムードに底堅さが示された格好。なお、6月の総会前の4月20日に開催される共同閣僚監視委員会(JMMC)の会合に注目したい。

 週を通じてやや軟調な展開となったが、心理的な節目である60ドルと年初来高値66.66ドルのレンジ内で収束したに過ぎず、明確な方向性は示されていない。米国の増産、OPEC加盟国および非加盟国の減産はもとより、中東の地政学的リスクもほぼ市場に織り込み済みであり、手掛かり材料待ち。新規材料に乏しいようだと、相場をもう一段突き上げるほどの材料が見当たらないこともあり、失望売りが優勢となるだろう。

【今週の予想】  

 ・WTI      やや弱め 62.00-66.00ドル
 ・BRENT    やや弱め 67.00-71.00ドル

 

国内石油化学関連ニュース

トピックス

  • 2月の輸入ナフサ価格4万6844円(速報値)
  • 東亞合成、エチレンカーボネート値上げ
  • 宇部興産、二価フェノール製品値上げ
  • KHネオケム、PGモノメチルエーテルなど値上げ
  • 東ソー、機能性ウレタン製品値上げ
  • クラレ、クラレトレーディング、PMMA押出板およびキャスト板値上げ
  • 旭化成、合成ゴムおよび熱可塑性エラストマー値上げ
  • 日立化成、銅張積層板、プリプレグおよびシールド板値上げ
  • 三菱ケミカル、OPS値上げ
  • 三井化学、北米におけるオレフィン系熱可塑性エラストマー生産設備新設
  • クラレ、カルゴン・カーボン買収手続きを完了
  • 昭和電工、高純度臭化水素の生産能力増強を完了
  • 経済産業省ほか、「リスクアセスメント良好事例集」を公表
  • ポリプラスチックス、米グループ会社を合併
  • クレハ、PPS樹脂製造設備を増強
  • 東レ、高平滑性と走行性を兼ね備えた高透明薄膜OPPフィルムを開発
  • 三菱ケミカル、東南アジアにおける機能性樹脂事業の強化
  • 第一工業製薬、リチウムイオン電池研究開発などの子会社を吸収合併
  • 東ソー、中国統括会社を設立
  • 昭和電工、電子材料用高純度ガス事業強化のため武漢市に分公司を設立

海外石油化学関連ニュース

ロイター、原油価格見通し

 ロイターがまとめた金融大手など31社の3月29日時点での原油価格見通しによると、2018年のWTI価格見通しは59.85ドルと前回見通しの58.88ドルから上方修正された。2019年は58.65ドル(前回見通し58.09ドル)、2020年は61.60ドル(同61.41ドル)と上方修正、2021年は61.09ドル(同61.68ドル)と下方修正。2018年第2四半期は59.91ドル(同59.38ドル)、第3四半期は59.26ドル(同58.80ドル)とそれぞれ上方修正。2018年のブレント価格見通しは63.97ドルと前回見通しの63.00ドルから引き上げられた。2019年は62.70ドル(同62.29ドル)と上方修正、2020年は65.36ドル(同65.55ドル)、2021年は65.21ドル(同65.97ドル)とそれぞれ下方修正。2018年第2四半期は64.04ドル(同63.18ドル)、第3四半期は63.28ドル(同62.47ドル)とそれぞれ上方修正。

CFTC、ファンド建玉明細

 米商品先物取引委員会(CFTC)が発表した建玉明細報告によると、27日時点におけるWTIのファンド筋のポジションは71万5770枚の買い越しと、前週から買い越し幅を1万2061枚拡大させた。売り買いともに新規建玉を構築する動きのなか、新規買いを先行させている。買い姿勢を強めた。一方の生産者筋は73万8031枚の売り越しと、前週から売り越し幅を1万4155枚拡大させた。こちらも売り買いともに新規ポジションを構築。新規売りを先行させた。

EIA、原油在庫は予想外の増加

 米エネルギー情報局(EIA)が3月28日に発表した3月23日までの週の週間石油統計の概要は次の通り。

 原油在庫は前週比164.3万バレル増の4億2994.9万バレルとなった。前年同期比は19.5%減と前週の同19.7%減からマイナス幅が縮小した。ロイター事前予想の30万バレル減に反して増加した。生産量は日量1043.3万バレル(前週比2.6万バレル増)と増加し、過去最高を更新した。輸入量は同814.8万バレル(同107.1万バレル増)と増加した。リファイナリーへの投入量は同1712.9万バレル(同12.1万バレル増)と増加し、稼働率は92.34%と0.65pt上昇した。輸出量は同157.8万バレル(同5.0万バレル増)と増加した。なお、WTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は3122.7万バレル(同180.4万バレル増)と3週連続で増加した。戦略石油備蓄(SPR)は6億6545.8万バレル(同変わらず)。

 ガソリン在庫は前週比347.2万バレル減の2億3959.3万バレルとなった。前年同期比は0.1%減と前週の同0.2%減からマイナス幅が小幅に縮小した。ロイター事前予想の200万バレル減を上回る減少となった。生産量は日量991.9万バレル(前週比1.3万バレル減)と減少した。輸入量は同68.5万バレル(同12.1万バレル増)と増加した。輸出量は同109.9万バレル(同41.3万バレル増)と増加した。需要は同920.8万バレル(同11.6万バレル減)と減少した。4週平均の需要は同936.3万バレルと前年同期の同931.2万バレルを0.5%上回る水準。全米平均ガソリン小売価格(レギュラー)は前週比5.0セント高の264.8セントと2週連続で値上がりした。

 ディスティレート在庫は前週比209.0万バレル減の1億2895.4万バレルとなった。前年同期比は15.7%減と前週と変わらず。ロイター事前予想の160万バレル減を上回る減少となった。このうちヒーティングオイル在庫は同52.6万バレル減の1030.4万バレル、前年同期比0.2%減と前週の同7.3%減からマイナス幅が縮小した。生産量は日量484.4万バレル(前週比34.1万バレル増)と増加した。輸入量は同15.0万バレル(同2.8万バレル増)と小幅に増加した。輸出量は同91.8万バレル(同7.9万バレル減)と減少した。需要は同437.5万バレル(同45.8万バレル増)と大幅な増加。4週平均の需要は同401.3万バレルと前年同期の同418.4万バレルを4.1%下回る水準。全米平均ディーゼル小売価格は前週比3.8セント高の301.0セントと7週ぶりの値上がり。

 なお、プロパン/プロピレン在庫は前週比115.6万バレル減の3560.3万バレルとなった。生産量は日量187.5バレル(前週比3.5万バレル増)と増加した。輸入量は同17.2万バレル(同2.3万バレル増)と増加。輸出量は同88.6万バレル(同15.5万バレル減)と減少した。需要は同132.6万バレル(同8.4万バレル増)と増加した。4週平均の需要は同143.5万バレルと前年同期の同116.0万バレルを23.7%上回る水準。

 石油製品全体の4週平均の需要は、日量2074.8万バレルと前年同期の同1962.3万バレルを5.7%上回る水準。SPRを除く石油全体の在庫は、前週比160万バレル減の11億8950万バレル。前年同期を11.0%下回る水準。