16年本決算は37%減益、17年の負債比率低下や特別配当実施に期待

現地コード 銘柄名 株価 情報種類
03333 中国恒大集団 (チャイナ・エバーグラン・グループ)  6.38 HKD
(03/29現在)
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恒大集団の016年12月本決算の売上高は前年比58.8%増の2110億元と、市場コンセンサス予想を18.8%上回る水準に達した。ただ、永久資本性証券(PCS)向けの配分が予想を上回ったことで、コア純利益は前年比37.3%減の26億元と、市場予想を47.7%下押しした。一方、経営陣は決算発表に伴い、収益性と財務強化に照準を合わせる形で戦略を見直す方針を強調。さらに財務費用の軽減と利益底上げに向けたPCSの受け戻しや、負債比率の低下を目指した戦略投資家の受け入れ、さらに特別配当実施の可能性といった複数のプラス要因を挙げた。BOCIは同社が最悪期を脱したとみて、現在株価の値ごろ感を指摘。株価の先行きを中立見通しから強気見通しに上方修正した。

同社は1130元規模のPCSのうち、17年上期中に少なくとも50%、通期では少なくとも70%を受け戻す計画。BOCIの試算によれば、これにより、17年にはPCS向けの分配部分を少なくとも31億元減らすことが可能という。手許現金は16年末時点で3040億元であり、うち1980億元は何ら制限を受けないキャッシュ。経営陣はこうした多額の現金保有を理由に、PCSの受け戻しは容易とみている。

16年期末には配当の実施を見送ったが、これはA株上場計画に絡む決定。経営陣は16年および17年上期の純利益のうち50%を、この先、特別配当として還元する方針を示しており、これが同社株の支援材料となる可能性が高い。

戦略投資家の受け入れに関しては、まず第1弾となる300億元分が4月に支払われる見込み。BOCIの推定では、これで純負債比率は432%から286%に低下する。また、第2弾の150億元は5-6月に決済されるとみられ、純負債比率はさらに240%に低下する運びとなる。戦略投資に際しての同社の評価額が香港株式市場における時価総額を明らかに上回るため、株主にとっては持ち株の価値の増大につながるという。

一方、同社は17年に、開発用地の取得ペースを抑える計画。現在2億2900万平方メートルを保有し、17-19年の成約目標(順に4500億元、5000億元、5500億元)を達成する上で、すでに十分な規模を確保しているため。こうした土地取得ペースの減速も、純負債比率の低下につながる可能性が高い。

BOCIは新規のプロジェクト取得を反映させる形で、予想NAV(純資産価値)を13.4%引き下げ、1株当たり12.80HKドルに設定。これに伴い目標株価を引き上げた。また、同社株が現在17年予想PBR(株価純資産倍率)で1.6倍、対NAVでは50.1%のディスカウント水準にあることを指摘し、株価の先行きを強気見通しに上方修正した。今後のレーティング見直しにつながりかねない同社の潜在リスクとしては、中国政府が予想以上の不動産引き締め強化に動き、その結果として市況が悪化する可能性を挙げている。

 

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