2月26日~3月2日原油マーケットレビュー

 前週のNY原油相場は反落。リビアの生産減少懸念から上昇する場面もあったが、米国の需給緩和状態を続くとの思惑から軟調地合いとなった。また、米株式市場が戻り一服から軟化したことも圧迫要因となり、WTI ( ウエスト・テキサス・インターミディエート)期近4月限は一時60ドル近くにまで下落する場面も見られた。

 リビアの主要油田の一時操業停止が相次いでいることを手掛かりに、買いが先行する場面があった。武装勢力による攻撃に伴いシャララ油田が操業を停止しているなか、前々週末にアルフィール油田が停止、続いて生産量減少を理由にハマダ油田も停止する見通しとなった。リビアの産油量の落ち込みを警戒した買いが集まった格好である。

 しかし、週後半には同国の産油量が日量110万バレルを維持していることが判明した。シャララ油田が生産回復したほか、ワハ油田の生産量が増えたこともあり、全体としては高めの生産水準をキープしている。なお、足元においては、同国の産油動向に対する市場の警戒は薄れている。

 需給ファンダメンタルズでの変動は、米国の需給の緩みがメインとなった。EIA(米エネルギー情報局)が発表した週間石油統計は、総じて弱気な内容が示された。原油に関しては、在庫は予想以上の増加とベアなものとなった。生産量が過去最高を更新、輸入量も回復した。一方、リファイナリーへの原油投入量が減少、輸出も大幅な減少となった。

 供給が増え、需要が減ったことで在庫は予想以上の積み増しとなった。このほかガソリン在庫も予想外の増加となったため、米国の需給は緩んだ状態がしばらく続くとの見方が広がった。EIAの月次の生産報告においても、前年対比で大幅に上回る生産が続いていることが確認されており、シェール企業の生産拡大が継続していることが窺える。

 米国の原油需給がバランスするには時間がかかる可能性が高く、当面これが上値を抑制する要因となるだろう。WTIの受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫が10週連続で減少したことへの市場の反応は限られたが、2014年12月以来の3,000万バレル割れとなっており、市場のセンチメントが強気に傾いた際には改めて買い材料視される可能性がある点には注意が必要であろう。

 需給要因以外においては、この週も投機マネーの流れの影響を受けたと考えられる。

 FRB(米連邦準備理事会)のパウエル新議長が初となる議会証言でタカ派的な見解を示したことで、市場想定以上に利上げペースが速まるのではとの思惑が広がった。これによりドルは対ユーロで上昇し株式市場は軟化した。投資家心理が冷え込み、リスク資産の一角とされる原油相場からの資金が撤退するのではとの懸念が強まり、原油相場も株価下落に追随して売られた。

 週後半には、トランプ米大統領が鉄鋼およびアルミニウムの輸入に追加関税を課すとの報が入り、市場はさらにネガティブに反応、ダウ平均は一時600ドルに迫る下落と軟調さが増した。今週は週前半に製造業関連、週後半に雇用関連と主要な米経済指標の発表が相次ぐ。今月20~21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に、金利動向に対して市場がどう見るのか、それ次第では投機熱が再燃するか冷めてしまうのか分かれることになるため、引き続き債券、為替、株式相場の動き、および投資家心理には注視する必要があろう。原油相場もその動きに左右される公算が大きい。

【今週の予想】    

  • WTI:やや弱め 59.00-62.00ドル
  • BRENT:やや弱め 62.00-65.00ドル

国内石油化学関連ニュース

・1月の輸入ナフサ価格4万6,930円(速報値)
財務省は2月27日、1月の貿易統計を発表した。1月のナフサの輸入数量は前月比2万8,386KL減の237万7,855KLと減少した。輸入金額から輸入数量を割り返した1月の輸入ナフサ価格(CIF JAPAN)は前月比1126円高の4万6930円と上昇した。同月の原油輸入価格(CIF JAPAN)は前月比1,498円高の4万5,652円と上昇した。

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