2月19日~2月23日のNY原油相場は上昇

 一時下向きのバイアスが強まる局面もあったが、週を通しては総じて買い優勢となった。需給面からの買いのほか、金融市場全般の投機マネーの流れにも支えられた。ただし、先行き不透明感が強く、一本調子での上昇への期待はリスクが大きい。

 

 

 

 需給面においては、買い気を誘う要因がいくつか散見された。OPEC(石油輸出国機構)加盟国と非加盟国による協調減産が続くとの見方がその一つ。UAE(アラブ首長国連邦)のマズルーイ・エネルギー相(OPEC議長)は前々週、加盟国および非加盟国の産油国は、年末までに長期提携で暫定合意することを目指していると言及した。6月の次回総会では協力し続けることを協議するという。また、具体的な枠組みは不明ながらも、協調の制度化を検討している模様で、協調減産を実施している24カ国が承認する可能性があると述べた。

 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相も、協調減産が奏功していることから市場は均衡に向かっており、その効果から原油在庫は減少し続けるとの見方を示した。これらの見解を受け、不均衡状態にある原油市場がバランスに向かうとの期待が広がった。

 また、米国の原油在庫が予想外の減少となったことも買い材料視された。EIA(米エネルギー情報局)が発表した週間石油統計で、原油在庫は前週比160万バレル減と事前予想(180万バレル増)に反して減少した。4週ぶりの減少。WTI( ウエスト・テキサス・インターミディエート)の受渡拠点であるオクラホマ州クッシングの原油在庫は9週連続で減少した。輸出増加の影響もあって原油在庫の取り崩しが進んだことで、米国産原油に対する内外需要は相応にあるとの期待感が高まった。また、財政危機にあるベネズエラからの輸入が過去最低となったことで輸入量が大幅に減少、それが在庫減少につながった。この影響はしばらく続く可能性があり、これも強材料視された。

 これら需給面から買いが入ったほか、リスク選好ムードも相場を支えた。金利上昇への警戒感は根強くあるが、株式市場が週後半にやや持ち直したことや、ユーロ/ドルが下押しされていることがサポート要因となった。1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録では追加利上げを後押しする内容が示され、これを受けて国債利回りが上昇、これが追い風となりドルも上昇した。また、長期金利上昇への懸念は株式市場にも及び、リスク回避の動きから株価は下落した。週前半はこのようにリスクオフの流れに傾きかけたが、週後半は長期金利が低下したことで、投資家の不安が後退し株高、ドル安につながった。

 ECB(欧州中央銀行)定例理事会議事要旨の内容もユーロ買い(ドル売り)につながった。資金調達への悪影響への警戒感が和らいだことで、リスク選好の流れとなり、リスク資産の一角とされる原油も買われた。また、ドル高が進んだことで、ドル建てで取引される原油に対する投資妙味が増したことも買いにつながった。

 足元は戻り歩調にあるが、依然として上値の重さは否めない。需給面での買い材料は散見されたものの、米国の増産傾向に変わりはなく、買いの勢いは限られている。需給ファンダメンタルズからの上値は限られる見通し。引き続き株式や為替、債券市場の動き次第であり、特に長期金利に左右される展開が続く可能性が高いため、投機マネーの流れには引き続き注意が必要である。

 

国内石油化学関連ニュース

トピックス

  • 三菱ケミカル、イオン交換樹脂、合成吸着剤値上げ
  • 旭化成、ABS系樹脂値上げ
  • 三菱ケミカル、C4誘導品値上げ
  • 三菱ケミカル、無水マレイン酸誘導品値上げ
  • クラレ、EVAエマルジョン値上げ
  • 旭化成、PCD値上げ
  • 東洋ゴム工業、国内2拠点の一部リノベーションが完了
  • 三菱ケミカル、PVC系エラストマー新シリーズの本格販売を開始
  • クラレ、光学用ポバールフィルム生産設備を増設
  • JSR、四日市工場内に新研究棟を竣工
  • 三菱ケミカル、日東化工株式を大阪ソーダに売却
  • 東レ、インドでPPスパンボンドプラントを建設
  • 千代田化工建設、エクソダス株式の一部をサブシー7に譲渡
  • 三菱ケミカル、バイオエタノール製造プロセス向けゼオライト膜マーケティングの戦略的提携
  • デンカ、CRKを完全子会社化
  • 大陽日酸、東シベリアでのヘリウム売買契約を締結
  • 宇部興産、品質検査に関する不適切行為