17年の石油生産量が自社予想を上振れ、可採年数の長期化が追い風に

現地コード 銘柄名
00883

中国海洋石油

(CNOOC)
株価 情報種類
 12.08HKD
(2/2現在)
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 CNOOCの2017年の石油・天然ガス生産量は4億6,900万BOE(石油換算バレル)と、経営陣の事前見通し「4億5,000万-4億6,000万BOE」の上限を2%ほど上回る水準に達した。生産効率の改善が背景。BOCIは同社の生産量が向こう3年にわたって再び上向きに推移すると予想。さらに重要なポイントとして、可採年数の長期化が見込める点を指摘した。海外の大型プロジェクトの貢献に加え、カナダ・ロングレイクのオイルサンド・プロジェクトの再計上見通しなどが理由。BOCIは生産見通しの改善を反映させる形で目標株価を引き上げ、同社株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 17年の石油・天然ガス生産量は事前予想を上回り、経営陣は続く18年、19年についても、生産見通しをそれぞれ3%、3-5%上方修正した。同社の生産量は過去2年間にわたって減少したものの、今後は上向きに転じる見通し。現時点での指針を見る限り、17年-20年には年率平均2%の伸びが見込めることになる。

 一方、17年の設備投資は500億元と、経営陣が事前に計画していた600億-700億元を明らかに下回った。これはいくつかの海外プロジェクトの遅れによるもの。韓国造船業界における事故の影響で、ナイジェリア・エジナ油田向けのFPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)船舶の引き渡しが遅れたことが一因。ウガンダのキングフィッシャー油田では、現地政府の認可の遅れが響く形となった。

 同社の油田・ガス田の可採年数は16年末に8.1年まで後退したが、その後は回復傾向にある。原油高を受け、一度は減損処理を行ったロングレイクのオイルサンド・プロジェクトが息を吹き返すとみられることが一因。BOCIによれば、ほかにガイアナのリザ、ブラジルのリブラといった新規の海外大型プロジェクトも寄与する見通しという。

 18年の設備投資予算は前年比40-60%増となる700億-800億元(17年の計画の遅延分を含む)。原油高を背景に、同社は油田探査への投資に対して自信を深めており、調査井の数を126カ所から132カ所に増やす予定。さらに、三次元探査データの対象エリアを前年比58%増やし、1万9,000平方キロメートルとする計画を明らかにした。

 BOCIは17年の利益見通しを増額修正する一方、18年、19年の利益見通しを5-8%減額した。生産量予測の改善と最近の元高トレンドが背景。18年末、19年末の人民元為替相場に関する想定値を元高方向に調整し、それぞれ1米ドル=6.30元(修正前6.45元)、同6.50元(同6.65元)とした。また、ロングレイク・プロジェクトに対する再評価を反映させる形で、SOTP方式に基づく予想NAV(純資産価値)を1株当たり9.91HKドルから11.54HKドルに上方修正。予想NAVに対して17.9%のプレミアム水準をあてはめて目標株価を引き上げ、株価の先行きに強気見通しを維持した。潜在リスク要因としては、原油価格の急落や新規プロジェクトの遅れを挙げている。