主要鉱山の生産量が17年10-12月期に好調、金属価格の値上がりも追い風

現地コード 銘柄名
01208 五鉱資源有限公司
(エムエムジー)
株価 情報種類
 5.20HKD
(1/26現在)
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 五鉱資源の主要鉱山の生産量は、2017年10-12月に力強い伸びを示した。同期にはまた、豪デュガルド川の亜鉛鉱床が予定より早く試験操業を開始した。同社経営陣は地質工学上の理由から、18年にはラスバンバス鉱山(ペルー)の銅生産量が減少するとみているが、BOCIはそのマイナスの影響は一時的との見方。銅、亜鉛、鉛の価格見通しの引き上げに伴い、同社の17年、18年、19年の予想EPSを56-250%の幅で大きく増額修正し、株価の先行きに対して強気見通しを継続している。

 10-12月期の業務統計はおおむね良好であり、ラスバンバス、セポン(ラオス)、豪ローズベリーなど主要鉱山の生産量はいずれも前期を上回った。うちラスバンバスの銅生産量は商業生産を開始して以来の高水準を記録。ローズベリーでの亜鉛、鉛生産量も前期比で大きく回復した。ほかに注目されたのは、世界で10本の指に入る大型亜鉛鉱床のデュガルドが、当初予定より2カ月前倒しで試験操業に漕ぎつけたこと。10-12月の生産量は1万2400トンで、最初の亜鉛精鉱が12月半ば、中国に向けて出港した。

 同社にとっては金属価格の値上がりが追い風。うち銅に関しては特に、電気自動車(EV)普及に伴う需要増観測が強い(EV1台に必要とされる銅は80kgと、ガソリン自動車の約3倍)。また、供給側に目を向けると、少なくとも世界生産量の14%に相当する南米の銅鉱山で人件費引き上げ交渉が行われる運びであり、これが生産状況に影響する可能性があるという。BOCIは在庫の減少が続く中、銅価格が高止まりするとの見方。また、金属を含む商品全体について、米ドル安が価格上昇につながると指摘している。

 経営陣が示した18年の生産量見通しは鉱山ごとにまちまちであり、ラスバンバスに関しては前年比5-10%の減少を見込む。銅精鉱のグレード低下や地質上の不安定性が理由。これに伴い、C1コスト(正味直接キャッシュコスト)は同1-11%増大する見通しという。一方、ローズベリーの18年の生産見通しは前年比横ばいで、C1コストは小幅高。セポンに関しては同11-27%の生産量の増加を見込み、C1コストは小幅高になるとした。デュガルドは18年上期に商業生産を開始する予定であり、18年の生産見通しは12万-14万トンとされている。

 一方、同社は財務費用の低減を目指し、有利子負債の前倒し返済や再編を進めている。こうした努力が向こう数年にわたり、債務負担の軽減につながる見通しという。

 BOCIはDCF方式に基づいて目標株価を引き上げ、株価の先行きに対して強気見通しを据え置いた。米国債利回りの上昇やマーケットの不安定感を反映させる形でディスカウント率を引き上げたものの、業績見通しの上方修正効果が勝った。一方、レーティング見直しにつながる可能性がある潜在リスク要因としては、◇銅や亜鉛価格の急落、◇予想以上に速いペースでの米利上げ――を挙げている。