FRBは労働市場に楽観的、平均労働賃金も上昇の兆し

 1月17日に公表された、全米12地区連銀が経済状況をまとめた「地区連銀経済報告」(ベージュブック)によると、米国経済は、「控えめから緩やかなペースで拡大した」との認識。米労働市場に対する見通しも楽観的で、実際いくつかの地区では、幅広い業種での賃金引上げが見られるとの報告もあがっています。

 雇用統計では平均労働賃金の伸び悩みが心配されていましたが、ようやく上向く兆しが出てきたようです。しかし、これを素直によろこべない事情もあるのです。

 

給料が上がると、失業者が増える?

 英国のIFS(財政問題研究会)は、インフレ率を超える最低労働賃金の上昇は、「仕事のロボット・AI化を急加速させる」と指摘するレポートを発表しました。また、カナダ銀行のエコノミストは、賃金の上昇が原因で、2019年までに60,000人の雇用が失われると警告しています。

 企業は、労働力を確保するために、人間の給料を増やしつつAI投資を増やす方向へと急いでいるようです。あと数年のうちに、コンビニや銀行で働いているのはすべてロボットになっていても不思議ではありません。「景気が良くなれば、失業率が下がり、給料が増える」という中央銀行の考えは、もう通用しない時代になりつつあるのです。

 移民ならぬAI排除を掲げる米大統領が登場する、そんなSFのような時代がいずれやってくるかもしれません。