4月から国内線運賃規定を緩和、長距離路線の値上げが追い風に

現地コード 銘柄名
01055 中国南方航空
(チャイナ・サザン・エアラインズ)
株価 情報種類
 8.80HKD
(1/9現在)
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 中国当局はこのほど、価格改革の一貫として、国内線運賃に関する規制緩和を発表した。2016年10月に発表された現行規定は、国内線3500路線のうち724路線について「価格上限」(中国語で市場調節価格)の引き上げを認めるとしたが、その大半が短距離路線。さらに1社に付き、1シーズン(半年単位)当たりの上限引き上げ対象をわずか10路線に限定し、1回の引き上げ率を最大10%に制限していた。これに対し、18年4月に施行される新規定は、対象路線を3500路線のうち1030路線に拡大し、新たに追加された路線の多くは長距離。1社に付き1シーズン当たりの引き上げ幅は10%のまま据え置かれるものの、1回に付き、対象路線のうち最大15%に当たる路線について上限引き上げを認めるとした。BOCIは国内最大手の中国南方航空が、今回の運賃規定の緩和により恩恵を受けると予想。同社H株の先行きに対する従来の中立見通しを強気に引き上げた。同社A株に関しても強気見通しを継続している。

 現在のところ、実際に中国の国内線運賃が上限ぎりぎりまで引き上げられるのは、連休中などのピークシーズンのみ。特に短距離路線は高速鉄道との競争が激しく、長距離路線に比べて上限運賃を適用できる期間が短い。現時点で価格上限の引き上げが可能なのは、その必要性が相対的に薄い短距離路線だが、新規定の施行に伴い、北京-上海のようなドル箱の長距離路線も対象に組み込まれる運び。うち中国南方航空について、BOCIは「18年中に対象路線のうち約5%(55路線)について10%の引き上げを実施する」と予想。19年にはさらに値上げ路線数が増えるとみている。

 中国の航空旅客需要は18年に前年比10%強の伸びを示し、大手航空キャリア3社による座席供給数の増加ペース(10%未満)を小幅に上回る見込み。BOCIは緩やかな需給引き締まり観測や運賃規定の緩和効果を考慮し、国内線の旅客イールド(旅客1人に対する1km当たりの収入単価)が18年、19年に3-4%上向くと予想。国際線に関してはほぼ横ばいを見込んでいる。また、北海ブレント原油の18年、19年の予想価格をそれぞれ1バレル=60米ドル(修正前52米ドル)、19年に同59米ドル(同54米ドル)に上方修正。こうした要因をすべて反映させる形で、同社の18年、19年の利益見通しを4.1%、46.3%増額修正した。

 BOCIは18年、19年の予想ROEを平均14.9%に設定。18年予想PBR(株価純資産倍率)1.45倍をあてはめて同社H株の目標株価を引き上げた。良好な利益成長見通しや高ROEを理由に、PBR1.45倍とのバリュエーションは適正との見方。H株の先行き見通しを強気に引き上げた。一方、レーティング見直しにつながる可能性のある潜在リスク要因としては、予想を超えた原油高、航空需要の予想外の低迷――を指摘している。