「ETF市場調査の結果報告書」(調査対象:20歳以上の男女2万名(本調査:2,691名)、調査時期:2017年7月21日~31日、調査協力:マクロミル)によると、株式・投資信託などの金融商品に加えてETFを保有している人(「ETF保有者」)で「利益を上げていると思う」人の割合は53%と半数以上。種類を限定せずに金融商品に投資している「一般投資家」ではその割合が30%だったため、ETF保有者は上手に利益を上げているといえそうだ。

 投資をするのであれば誰しも利益を出したいと思うもの。それではETF保有者たちは、上手に利益を出すためにどのように運用しているのだろうか?その秘訣を探ってみよう。

 

株、投信、ETFの使い分けはどのように?

 まず投資をしている金融商品について、ETF保有者はETFだけに絞っているわけではないことが分かった。ETF保有者の投資総額に対する各金融商品の投資金額割合をひもとくと、「国内株式」(39%)、「投資信託」(22%)、「ETF」(18%)と続いた。

 一方、一般投資家は「国内株式」(53%)「投資信託」(26%)の割合が多いという結果に。ETF保有者は「国内株式」「投資信託」にETFを組み合わせることで、自身にあった資産配分を実現していると言えそうだ。

 この配分割合を、ETF保有者の平均投資総額2,008万円と照らし合わせて金額を算出すると、ETFへの投資金額の平均は275万円となった。

 

ETF保有者の特徴は「積立意向」

 調査では、投資方法についても訊ねている。そこで投資経験年数を見てみよう。一般投資家は平均12年だったが、ETF保有者は平均15年。経験が豊富な人が、ETFにも投資していることがわかる。

 投資に費やす時間を見ると、ETF保有者の35%が「ひと月5時間以上」と回答。一般投資家で「ひと月5時間以上」と答えた人が14%だったことと比べると、圧倒的に時間を割いている。さらに趣味が「資産運用」と答えたETF保有者はなんと66%。一般投資家の33%と比べて2倍近くになっており、造詣の深い投資家が多いことが分かる。

 想定投資期間に関しては、1~5年程度の中長期運用の割合が一般投資家で81%、ETF保有者で78%とほぼ変わらなかったが、金融商品の買い方には違いが見られた。

「定期的に一定額を積み立てたい」という考えを持つ人が、一般投資家では20%だったが、ETF保有者では31%と多く、積立意向が高いことが読み取れる。これは「ドルコスト平均法」で時間を分散させることにより、平均購入価格を抑えることを意識しているということだろう。

 なお、ETFで積み立てをする場合、現状ではその都度、自身で購入しなければならないため手間が生じてしまう。今後、ロボアドなどによって積立しやすい環境が整えられれば、ETFで積立をするハードルも下がっていくだろう。

 

投資のポイントは「収益」&「税制面」

 投資に対して重視しているポイントを聞いた設問では、一般投資家とETF保有者で顕著な違いが見られた。

 ETF保有者の78%が、投資について「高い収益が期待できること」、68%が「税制面での優位性があること」を重視していた。

 一方、一般投資家は前者が61%、後者が51%と、ともに17ポイントも低くなったのだ。それだけETFを活用するような投資家は、収益が上がりそうな商品を見定めるだけでなく、税制面の優位性があるといったコスト面についてもしっかりと意識しているといえるだろう。

「元本割れのリスクが低いこと」を重視しているのは、一般投資家が66%、ETF保有者は50%であった。重視している人が少なく、かつ利益を上げているということは、ETF保有者がきちんとリスクとリターンの仕組みを理解し、適切にリスクをコントロールしながら投資をしているということの現れかもしれない。

 調査データを元にETF保有者の投資傾向を見てきたが、収益を追求するだけでなく、時間分散や税制優遇といったコスト面も重視しているなどどこか堅実な印象を受ける結果だった。

 利益を最大化するために金融商品選びやコストを減らす方法・制度を上手に活用していることが、ETF保有者が利益を出している秘訣といえるだろう。(有竹亮介/verb)

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