となると、株価が下がるのを待ってから買いを入れたいところです。ただし、相場が大きな局面を迎えていた場合には、その流れに付いて行くことができなかったりします。昨年9月からの上昇相場に乗り切れなかった方が多いのも、こうした「買いたい弱気」という投資家心理が少なからず影響していると思われます。また、「押し目待ちに押し目なし」という相場格言もあります。

 足元の相場上昇の勢いに乗るか、それとも押し目を待つのかについては、正直言って迷うところ。普通に考えれば、押し目待ちでも悪くはないのですが、昨年末の時点では日経平均が11月9日の高値を超えるのはもうしばらく先になるという見方が多かったのが、意外とあっさり上抜けたことや、未踏の水準に足を踏み入れた米株市場の強さなどを踏まえると、相場が大きな局面を迎えている可能性も捨て切れません。

 相場に勢いがあるときは、株価水準が割高感であろうと、過熱感が指摘されようと、とりあえず行けるところまで行ってみるという動きを見せることが多いです。「たとえ株価が行き過ぎたとしても、その後の調整局面で帳尻を合わせるから別にいいじゃん」というわけです。指をくわえて株価の上昇継続を眺めることになるのであれば、思い切って相場の勢いに乗ってみるのもアリと言えます。もちろん、ロスカットと押し目待ちへのすばやい方針転換の準備は欠かせません。

 では、最後に年初の上昇の勢いについて簡単に整理してみます。一般的に、相場が行き過ぎていると言われている状況は、「時間」と「振れ幅」に対する感覚で見る必要があります。今回の場合は、「2日間で949円上昇」したことをどう捉えるかです。

 まずは振れ幅についてです。下の図2は、日経平均と移動平均線カイ離(25日)です。

図2:日経平均(日足)と移動平均線カイ離(25日)の動き (2018年1月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDを元に筆者作成

 相場が急上昇した時の移動平均線カイ離をみると、5〜6%辺りで天井をつけることが多く、目先の目安として意識されそうです。5日(金)取引終了時点でのカイ離は3.88%となっています。また、この日の25日移動平均線の値は2万2,828円ですので、仮に5%までのカイ離を計算すると2万3,969円になります。となると、先週末の勢いが続くのであれば、2万4,000円へのトライもシナリオとして十分に描けられるわけですが、逆にこの水準が売りの目安となる可能性も浮上してきます。

 また、時間についてですが、こちらは昨年、日経平均が16連騰したときと比べてみたいと思います。その期間は昨年の9月29日から10月24日までになります。

 終値ベースでは、この期間に2万356円から2万1,805円まで上昇し、上げ幅は1,449円です。当時の上昇期間や上昇幅と比べると、年初からの上昇ピッチ(2日で949円の上げ幅)はかなり早く、ジワリと買いが継続した昨年とは異なり、一気に買いが入った印象が強いと言えます。従って、勢いに乗る投資手法の時間的な賞味期限は短くなるかもしれません。