資産形成の際は「長期視点のテーマ」に注目

 中長期のテーマである「中央銀行」に関わる新興国を中心とした中央銀行の金(ゴールド)保有高の目立った増加と、超長期のテーマである「見えないリスク」に関わる西側・非西側の分断、およびSNS・ESG起因の混乱は、2010年ごろから目立ち始めました。(「見えないリスク」については前回の「金(ゴールド)市場のテーマ「見えないリスク」」をご参照ください)

 中長期と超長期のテーマ起因の上昇圧力が強まり始めたことによって、以下のとおり、2010年ごろ以降の長期価格上昇が起きているといえます(「有事ムード」「代替資産」「代替通貨」といった短期的なテーマだけで、ここまでの長期的で大規模な価格上昇は起き得ないと筆者は考えている)。

 しばしば、金(ゴールド)価格について「もう高い」「もう上がらないだろう」「下がる可能性がある」などと、チャートの見た目で判断を下そうとする声を聞きます。

 本当にそうなのであれば、ドル建て金(ゴールド)が1,000ドル/トロイオンスに達したり、円建て金(ゴールド)が1万円/グラムに達したりした後、価格は下がっていた可能性があります。ですが実際は、逆に上昇しています。その上昇に勢いさえあります。

図:海外金(ゴールド)現物価格と国内地金大手小売価格の推移(1973年~)

出所:LBMAおよび国内地金大手のデータをもとに筆者作成

 材料があれば、価格は上昇します。材料を整理せずにチャートだけで(見た目で)判断をしてはいけない、ということです。

「中央銀行」と「見えないリスク」起因の上昇圧力が続く限り、長期視点の価格の大幅下落は発生しないと筆者は考えています。もちろんその道中で、短中期のテーマ起因の圧力が加わることで、短中期的な下落が起きる可能性はあります。

 長期資産形成において関心を示すべき点は、短中期視点のテーマ起因の上下の圧力ではなく、中長期・超長期のテーマ起因の長期的な上昇圧力がどれだけ続くか、という点であると考えます。目立つから、分かりやすいから、などの理由で短中期視点のテーマ(ばかり)に、寄り添ってはいけないと考えます。

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