今日の為替ウォーキング

今日の一言

「研究」とは立てた仮説を検証することである

Leave The Door Open

　米国の雇用市場が慢性的な人手不足状態に陥っている理由は、企業と求職者の間におけるニーズの不一致によって生じる雇用のミスマッチが原因だといわれている。しかしそれ以上に深刻な問題が人材不足の硬直化である。

　米雇用市場が2009年から2020年までの約10年間拡大を続けてきたのは、「55歳以上の就業者増加」でほぼ説明可能だと米セントルイス連銀は指摘する。2008年のリーマンショックの株価大暴落によって年金が消えてしまった当時のシニア層は、生活のために退職する年齢に達したあとも働き続ける人が多かった。そのため、数字上は労働者が増えたかのように見えたのだ。

　しかしそれから15年後、米国の株価がリーマンショック前の水準を超えさらに史上最高値を更新するまで高くなると、老後に十分な資金を取り戻したシニア層たちは一斉に雇用市場から去っていったのだ。さらに、FIRE（経済的自立と早期退職）ブームに乗って仕事をやめるミドル層も増えたことで新型コロナ流行後の人手不足が一気に深刻化した。シニア層やミドル層の人手不足問題を解決するには数十年単位の時間が必要だといわれている。これが、現在の米労働市場における構造的問題である。

今週の注目経済指標

出所：楽天証券作成