2008 (平成20)年5月28 日

高級料亭「船場吉兆」が廃業

 

 2008年5月28日に「船場吉兆」が廃業しました。船場𠮷兆(せんばきっちょう)は高級料亭として、大阪市中央区に存在した𠮷兆グループの料亭です。船場本店を中心に大阪市中央区と福岡で店舗を展開していましたが、2007年に不祥事騒動を起こし、廃業に至りました。

 まずは賞味期限の偽装に始まり、地鶏の産地偽装、物販商品の味噌漬けの産地偽装、客の食べ残し再利用、無許可での梅酒造りなどなど、多くの不祥事が内部告発により相次いで発覚しました。

 この事が発端となり「船場吉兆」は2008年5月28日、全店を閉店し廃業。同年6月には負債は8億円で自己破産に追い込まれました。

 この前年、北海道の石屋製菓で、代表的な菓子である「白い恋人」の賞味期限の改ざん事件が起きましたが、この時の石屋製菓社長は事件発覚後3日目に会見で謝罪し、引責辞任しています。同月にはメインバンクである北洋銀行の常務が新社長として就任。さらに役員5人のうち4人を占めていた創業者親族が1人を除いて退任し、経営のワンマン化を廃止、健全化を図りました。

 この自発的な経営改善取り組みにより、偽装不祥事を起こした企業としては異例の再生を成し遂げ、営業再開日には菓子が売り切れるほどの人気をみせました。

 石屋製菓も船場吉兆同様、親族経営企業でしたが、事件後の対応は船場吉兆とは真逆でした。船場吉兆は、偽装をパート社員の責任とし、産地偽装は納入業者が勝手にしたことと会見。さらに謝罪会見では、言葉に詰まった社長である長男の隣にいた女将が回答をささやいたため、「ささやき女将」と揶揄され、事態は悪化の一途をたどりました。責任を他者に転嫁しようとする対応が、逆に信用を失う結果となったのです。事後対応の迅速さ、責任能力の有無などが、企業の明暗を分けました。

 

2008年5月28日の日経平均株価終値は

13,709円44銭

ライター: FIX JAPAN 前沢ともあき