米国の輸入物価下落は消費鈍化の兆候?

 ちなみに、輸入物価はその国の内需(特にウエートの高い消費)によって変動すると考えるのが一般的です。図表4は、米国の輸入物価と小売売上高の前年比を見たものですが、確かに両者が(特に2000年代以降)連動していることが分かります。

<図表4 米国の輸入物価と小売売上高>

(注)シャドーは米国の景気後退期。
(出所)米商務省、BLS、NBER(全米経済研究所)、楽天証券経済研究所作成

 2月15日に発表された2024年1月の米小売売上高は前月比▲0.8%と、市場予想の▲0.3%を大きく下回り、話題となりました。市場からは、「新型コロナ禍後のリベンジ消費が頭打ちになった」「高インフレ、高金利の影響が出始めている」といった解説が聞かれます。今の株価上昇を崩すとすれば、米国の消費かもしれません。

 米BLSでは、米国の輸入物価を輸入先別に分類して公表しています。そのドイツと中国からの輸入物価が、最近下落傾向を強めています(図表5)。これが、ドイツと中国の自国要因によるものなのか、それとも米国の消費鈍化を反映したものなのか。後者の可能性を意識しつつ、慎重に見極めていく必要があるように思われます。

<図表5 米国の輸入物価(輸入先別)>

(注)シャドーは米国の景気後退期。
(出所)BLS、楽天証券経済研究所作成