2024年世界景気回復を織り込む動きか

 6月に入り、世界的に景気敏感株が買われ始めています。例えば、半導体関連株がそうで、半導体不況にもかかわらず急騰しています。来年に半導体ブームが復活することを織り込む動きと判断しています。データセンターやAI(人工知能)開発向けに半導体需要の拡大が続く見込みであり、来年にはブーム復活が予想されます。

 楽天証券経済研究所では、2023年に米景気を中心に世界景気は減速しますが、2024年には回復に向かうと予想しています。株は、景気循環を半年から1年先取りして動く傾向があります。今の日経平均の上昇は、2024年の世界景気回復を先に織り込む動きと考えています。

 ここで、1999年以降の、日本の景気循環と日経平均の動きを振り返ります。

日経平均と景気循環:1999年1月~2023年6月(16日まで)

出所:景気後退期の判断は内閣府。景気停滞期は、楽天証券の判断。後退すれすれまで景気が悪化したが景気後退に至らずに持ち直したところ

内閣府による景気後退期の判断:2000~2020年

出所:内閣府資料より楽天証券経済研究所作成

【1】2000年11月~2002年1月:ITバブル崩壊不況

 日経平均は、不況入りする2000年11月よりも7カ月前の2000年4月にピークアウトして、下落していました。2002年1月に景気後退は終了しましたが、日本は金融危機が継続していました。そのため、景気回復期に入っても日経平均下落が続きました。

【2】2004年6~12月:景気停滞

 景気後退ぎりぎりまで景気が減速しましたが、ぎりぎり後退期入りを回避して、2005年以降、回復が続きました。政府は2004年を、「景気の踊り場」と呼び、2005年に「踊り場脱出宣言」を出しました。私は、2004年は短期景気後退期だったと認定すべきと考えています。

【3】2008年2月~2009年3月:リーマンショック

 日本の景気は、2008年2月にピークアウトしていますが、日経平均は、それより8カ月も早い2007年6月にピークアウトしています。

【4】2012年3月~2012年11月:円高不況

 民主党政権下で、円高などを原因として、景気後退期となりました。自由民主党の安倍晋三政権がスタートしてから、景気回復期に入り、株価も上昇に転じました。

【5】2014年4~9月:消費税引き上げ後の景気停滞

 日経平均は3カ月前から下落を始めました。景気後退期入りすることなく、持ち直しました。

【6】2015年10月~2016年3月:チャイナショック、世界的な景気停滞

 世界的な景気停滞で、日本の景気も後退ぎりぎりまで悪化しましたが、2016年後半に持ち直しました。

【7】2018年10月~2020年5月:貿易戦争・コロナショック不況

 2018年10月から、米中貿易戦争などを原因として、世界的に製造業の景況が悪化し、日本は景気後退期に入りました。景気後退期入りとほぼ同時に、日経平均は下落を始めました。2020年にはコロナショックが追い打ちをかけ、景気がさらに落ち込みましたが、2020年5月から急回復に向かいました。日経平均は3月に底打ちして急上昇を始めていました。