銀行が貸してくれる…と安易に大きな借金を負うべきでない

 銀行の融資審査が、少し甘くなっています。以前ならば、決して貸さなかったような個人に、大きな金額を貸すことがあります。

 20代シングルマザー、健康に問題があって、団体信用生命保険に入れない方が、中古の一戸建てを買うために約4,000万円の住宅ローンを申し込んだら認可が出てしまいました、と聞いたことがあります。

「認可が出てしまった」というのは、無理して一戸建てを買うのが、その人にとって良いことか疑問だからです。

「持ち家がないと不安」「いざというとき、家さえあれば何とかなる」と考えて家を買いたくなる気持ちはわかります。

 ただし、そのために大きな借金を負うのが、どれだけ重荷になるのかに、気づいていない可能性もあります。

 大きな借金を背負って生きていくのは大変なことです。体調を崩して一時的に収入が途絶えても、借金の返済は続きます。持ち家はなくても、借金なしで生きていく方が安心な場合もあります。

 持ち家購入の検討は、ある程度年齢を経て一定の貯蓄ができ、もう引っ越しが必要になる可能性が低いと思えるようになったときに考えれば良いと思います。

 さすがに、社会人1年目から、数千万円もの大金は借りられないと思いますが、それでも、カードローンなら何十万円も借りられてしまう場合があります。

 銀行が貸してくれるから「銀行のお墨付きをもらった」と、勘違いすべきではありません。日本銀行がゼロ金利政策を続けているため、国内商業銀行の基礎体力はいちじるしく低下しています。

 利ざや(預金利回りと貸金利回りの差)縮小に苦しむ国内銀行は、生き残りをかけて、必死に利ざやの取れる個人ローンを拡大しようとしています。

 そのため、住宅ローンだけでなく、無担保で借りられるカードローンやフリーローンでも、融資基準がゆるんでいます。銀行は、無謀な借金を止める役割を果たさなくなってきています。