「株価急落=買い」を勧めるSNS界隈の人たち
3月9日からの日本株の下落は、ショック安とまではいきませんでしたが、シリコンバレー銀行破綻の報道の数日後には、クレディ・スイスの信用不安問題が露呈するなど、久しぶりにマーケットが荒れた展開となりました。
最も影響が大きかったのがやはり銀行株で、メガバンク3社の株価は1週間で軒並み20%ほどの下落となりました。それ以外にも、株価がかなり下がった銘柄が多数ありました。
筆者個人的には、金融機関の信用不安が高まると、最悪金融危機につながりかねないという危機感を持ちながら株式投資をしています。でもSNSでの書き込みなどをみると、どうやらそうでもないようです。
目立つのが、今回の株価下落を絶好の買い場として、「買い目線」でとらえている人たちです。
しかし、株式投資を25年続けていて、リーマン・ショックなどの暴落も何度も経験している筆者としては、「ちょっと考え方が甘いのでは?」と心配になってしまいます。
確かに株価急落は「買い場」となることが多いが…
確かにここ最近の株価の動きを見る限りは、株価が短期間に大きく下がった後は程なく反発しています。したがって、「株価急落=絶好の買い場」ということが当てはまっているとはいえます。
でも筆者が忠告したいのは、「いつでもそれが当てはまるのか?」という点です。
株価が下がったら買い向かうというのは、いわば逆張り的発想です。実は逆張りは、上昇相場や横ばい(ボックス)相場ではかなり成功率が高い方法です。上昇相場や横ばい相場では、株価が一時的に下がってもその後反発してくれるからです。
でも、上昇相場や横ばい相場から本格的な下落相場へ転じたらどうでしょうか。
例えば今回の株価下落では、日経平均株価が3月9日の高値2万8,734円79銭から3月16日の安値2万6,632円92銭まで2,000円ほど下がりました。
上昇相場や横ばい相場なら、この程度の下落で済むことは多いでしょうが、もしここから日経平均株価が2万5,000円、2万円、1万5,000円と下げ続けていったならどうなるでしょうか?
今の日経平均株価2万7,000円近辺の水準で買った株は、おそらくかなり値下がりしてしまうはずです。
2008年のリーマン・ショックのときは、個別銘柄の株価が3分の1、5分の1というのはザラで、中には20分の1以下に下がったものもあります。
ですから、今の株価水準で喜んで逆張りの買いをしている方に対しては、「今買っている株価が5分の1、10分の1になったらどうするのですか?」と自問自答してもらいたいと思っています。
もしそれに対する明確な回答が出ないのであれば、いずれ株式投資で大きな損失を被ってしまう可能性が大です。
さらに株価が深堀りする可能性も考えた上での行動を!
では具体的にどのように行動すればよいのでしょうか? 筆者であれば、買うタイミングとしては次の三つです。
(1)25日移動平均線超え
(2)5日移動平均線超え
(3)底値(と思われる株価)から少し反発したところ
3月10日以降の下げの時もそうでしたが、マーケット全体が下落しても、上昇トレンドを維持している強い銘柄は結構ありました。もし25日移動平均線を超えているのであれば乖離(かいり)率が小さいときに買いますし、25日移動平均線を少し割り込んでいるのであれば、再び超えてきたら買うようにします。
一方、株価が大きく下落した銘柄については25日移動平均線のはるか下に株価が位置していますので、25日移動平均線超えを待っていると底値からかなり株価が上昇したところで買うことになってしまいます。
そこで、株価が下げ止まって5日移動平均線を超えたら買う、もしくは5日移動平均線は超えていないが株価が底値から少し反発しているのであればそこで買ってしまうのも一考です。
もちろん、さらに株価が深堀りする可能性もありますから、損切り価格はしっかり決めておきます。移動平均線基準で買った場合は移動平均線割れ、底値から少し反発したところで買った場合は底値割れで売却とすればよいでしょう。
筆者は逆張りはしませんので、「順張りでかつできるだけ安く買う」かつ「損切りは絶対に順守する」ということを徹底しています。
銀行が破綻するかどうかの情報収集をしてもあまり意味がない
最近、ネット上ではこのような記事をよく見かけます。
「シリコンバレー銀行破綻の影響は他の金融機関にも及ぶのか」
「クレディ・スイスは破綻するのか?」
もちろん、これらの記事を読み、今いったい世の中でどのようなことが起きているのかを学ぶのは良いことだと思います。
しかし、例えばこうした記事の中の「今回はリーマン・ショックのようなことは起こらない」というコメントをうのみにしてしまうのは非常に危険です。
金融危機による株価急落というのは、多くの投資家が予想していなかったことが起こるから生じるのです。そもそも将来の株価がどうなるかなど、誰にも予想することができません。
逆に、心配しすぎて持ち株を全部売ってしまったものの、金融不安問題が落ち着いて強い株がどんどん高値更新しているのにもかかわらずその上昇に乗ることができない、というのももったいない話です。
ですから、やはり個人投資家としては「株価は株価に聞け」を徹底し、株価が下がって下降トレンドになっているようなときは、キャッシュ比率を高めて下げ止まるのを待つ、というのが賢明な判断だと思います。
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