日銀、緩やかに緩和修正、金利高、円高に備えた物色を

 先に述べたように、日銀新体制後はイールドカーブ・コントロール政策の修正に関心が向かう可能性は高いでしょう。ただ、これは植田氏が候補となったからではなく、誰が新総裁になっても同様の状況になった可能性は高いとみられます。

 当面は、政策変更による国内長期金利の上昇、為替相場での円高進行を想定した物色が有効と考えます。また、賃上げの本格化でメリットが期待できる小売株なども期待セクターといえるでしょう。

 今回は国内長期金利の上昇、為替円高、個人消費の拡大などが一般的にメリットとされるセクター(食品、紙パルプ、小売り、銀行、電気・ガス)を選定し、時価総額1,000億円以上で、各セクター内において最も配当利回りが高い銘柄をピックアップしています。

厳選・高配当5銘柄(あおぞら銀、電源開発、ケーズHD、コカ・コーラボトラーズジャパンHD、王子HD)

(表)円高メリット業種における高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当利回り(%) 2月17日終値(円) 時価総額 (億円) 業種
8304 あおぞら銀行 5.85 2,632.0 3,113 銀行
9513 電源開発 3.76 2,127.0 3,893 電気・ガス
8282 ケーズHD 3.75 1,174.0 2,642 小売り
2579 コカ・コーラ ボトラーズ 3.57 1,399.0 2,886 食品
3861 王子HD 3.04 527.0 5,346 紙・パルプ

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが3.0%以上(2月17日終値)
  2. 時価総額が1,000億円以上
  3. 金利高や円高がメリットとなるセクター内で最も高利回りの銘柄(円高メリットセクター内でも明らかに円高がデメリットとなる銘柄は除外)

1 あおぞら銀行(8304・東証プライム)

 経営破綻して公的資金による救済を受けた日本債券信用銀行が前身です。中堅・中小企業との取引、不動産や事業再生案件といった専門性の高い融資を扱う「スペシャルティファイナンス業務」が特徴です。コンパクトな規模で全国・海外において事業展開を行っています。

 インターネット銀行ではGMOインターネットグループと提携しています。配当は四半期ごとに実施しており、個人投資家の保有比率が高いことも特徴になります。銀行株の中でも現状の配当利回りはトップクラスとなっています。2022年12月末の自己資本比率は9%台後半となるようです。

 2023年3月期第3四半期累計純利益は157億円で前年同期比45.0%減となっています。リスクをコントロールした運営の継続によって、マーケット関連業務の収益が大きく減少しています。仕組債販売抑制でリテール業務も減益となっています。

 通期計画は100億円で前期比71.4%減の見通しで、第3四半期決算時に従来予想の360億円から下方修正しました。外国債券の評価損を一括処理することで損失が膨らむもようです。なお、年間配当計画は前期比5円増の154円を据え置いています。

 あおぞら銀行は配当性向を原則50%としていますが、一時的に配当性向が高くなることも選択肢であるとしています。2024年3月期の減配懸念も後退する方向と考えられます。四半期配当を実施していることで、権利落ち分が分散されることから、権利落ちによる短期的な株価下落リスクが低いことも安心感につながります。

 目先は日銀のイールドカーブ・コントロールの変更に伴い、長期金利は上昇する方向にあると思われるため、銀行株への関心は高まる方向にあると判断されます。

2 電源開発(9513・東証プライム)

 全国に約100カ所の発電所を保有、運営して、国内電力会社などに販売しています。2004年に完全民営化を果たした企業となります。総発電設備の持分出力は2,662万kw(海外862万kW)とされており、石炭火力が39%を占めますが、再生可能エネルギー比率も37%あります(2022年9月時点)。

 水力発電、風力発電では国内シェア第2位を占めています。大間原子力発電所の建設工事本格再開も目指しています。なお、2021年度実績での販売電力量は858億kWhとなっています。

 2022年3月期第3四半期累計営業利益は1,615億円で前年同期の約2.5倍の水準となっています。国内外で電力販売価格が上昇したほか、石炭価格上昇によって豪州での炭鉱権益保有子会社が大幅増益となったことも寄与しました。

 上記の要因が想定以上に寄与していることで、通期予想は従来の1,620億円から1,710億円に上方修正し、前期の約2倍の水準を見込んでいます。年間配当金は前期比5円増となる80円を計画しています。

 石炭価格の反動安が想定されることで、2024年3月期は2ケタの減益に転じる可能性が高いとみられます。ただし、配当性向は30%を目安にしていることで、2024年3月期の減配の可能性は低いとみられます。

 ちなみに、2023年3月期の配当性向は、石炭価格の上昇寄与分は一過性とみていることで、14%程度の水準です。電力業界の中では現状で数少ない有配銘柄でもあり、電力・ガスセクター内でみてもトップクラスの利回り水準にあります。政府の原発推進への方向転換は大間原発の先行きに対する期待材料とも考えられます。