今日の為替ウォーキング

今日の一言

ディーラーは3日やれば止められない

The Final Countdown

 マーケットでは日々様々な材料が登場しているが、どう計算しても答えは「ドル高」になる。

 欧州では、エネルギー不足の深刻化で来年の景気後退入りはもはや避けられない状態だ。ウクライナ戦争は停戦の道筋が全く見えないどころか、ロシアは核や生物化学兵器を使用する可能性があるなかで地政学リスクは一段と高まっている。

 英国では今年、MMT(現代貨幣理論)的経済政策を掲げたトラス首相はあっという間に辞任に追い込まれた。後任にスナク元財務相が就任して、英国の財政政策は先進国で最も「緊縮的」になるといわれる。前首相のジョンソン氏は今回の立候補を断念したが、いまだ保守党内の最大派閥であり、自分を裏切ったスナク新首相との関係は良好とはいえないようだ。英国の政治不安もまだ終わりそうにない。

 経済構造の変革期にはアンチ政党や単一政策政党に支持が集まる傾向があるが、欧州ではイタリアやスウェーデンに極右内閣が誕生した。移民政策やロシア制裁を巡って欧州内の足並みが乱れるおそれがある。

 海外需要が縮小するなか、国内経済に頼るしかなくなった中国は、唐突にゼロコロナ政策を放棄した。高速鉄道脱線事故が起きた時に車両を地面に埋めて隠してしまったくらいだから、新型コロナも初めから存在しなかったことにするのかもしれない。

 世界経済の3割以上が、来年までに景気後退に陥る」と、IMFは警告する。世界がエネルギー不足に苦しむ姿を傍目にOPEC+は大幅減産を断行して、世界的インフレをさらに悪化させることに一役買っている。景気不安は社会不安につながる。今年の世界各地での暴動は昨年の2倍以上に増えてた。

 それに比べると米国の経済は堅調である。たしかに高止まりするインフレ率は問題だ。とはいえ、米国のインフレは「需要インフレ」であって、欧州や日本のような「供給(輸入)インフレ」とは違う。つまり米国の経済の元気が良すぎることが原因なのだ。FRB(米連邦準備制度理事会)の連続大幅利上げでも米国の労働市場は強さを維持している。

 金利の低い国からお金を借りて金利の高い国に預ける。弱い国の通貨を売って強い国の通貨を買う。これは合理的な取引である。ドルは唯一無二のセーブヘブン通貨だ。

今週と来週の 注目経済指標