ジャックス(8584・東証プライム)

 クレジット事業やカード・ペイメント事業、住宅ローンなどを扱うファイナンス事業を手掛けています。ASEAN4カ国を中心に海外事業が収益構成比の10%以上を占めます。2008年に20%の出資を受け、三菱UFJグループの一員となっています。

 投資用マンション向け住宅ローン保証残高では業界トップシェアです。業界内ではいち早く、1997年2月にキャッシング上限金利を利息制限法内に引き下げており、過払い金問題が業績に与える影響は極めて軽微です。

 2022年3月期営業利益は267億円、前期比63.8%増となりました。ファイナンス事業やクレジット事業の取扱高が伸長する一方、貸倒関連費用などを中心に営業費用も減少しました。年間配当金は前期比55円増配の160円としています。

 また、2023年3月期は290億円で同8.4%増益の見通しです。住宅ローン残高が順調に拡大しているほか、貸倒関連費用も着実な減少が見込まれます。年間配当金も前期比10円増の170円を計画しています。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2021年3月期は海外事業が赤字に転落し、営業利益も微減益となりましたが、それ以外は安定して10%以上の利益成長ペースとなっています。キャッシュレス決済の普及進展、投資用マンション市場の好調推移などが背景となっています。

 安定した収益成長に伴って連続増配も続いており、中長期的な投資妙味は高いと考えられます。なお、中期計画では2025年3月期経常利益365億円(2022年3月期は268億円)を目指しています。

武田薬品工業(4502・東証プライム)

 国内製薬業界のトップ企業となります。がん、希少疾患、血漿分画製剤、神経精神疾患、消化器系疾患の5つのビジネス領域に注力しています。2019年1月、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を完了、買収総額は円換算で約6.2兆円と、日本企業として過去最高額のM&A(買収や合併)となりました。

 これにより、事業規模は世界トップ10に仲間入りすることになりました。約80の国・地域で事業を展開しています。

 2022年3月期営業利益は4,608億円で前期比9.5%減益となりました。成長製品がけん引して全ての地域で売上が増加していますが、前年度に計上した多額の一過性収入の反動で減益となっています。年間配当金は前期と同様に180円としています。

 一方、2023年3月期は5,200億円で同12.8%増益の見通しとなっています。コア事業の成長に加えて、為替のプラス影響も織り込んでいるようです。ドル/円レートの想定は1ドル=119円としています。また、コロナワクチンは約500億円の売上貢献を見込んでいます。年間配当金は180円の計画です。

 シャイアーの買収関連費用計上などで、2020年3月期にかけて一時営業利益は落ち込みましたが、2021年3月期はこうした費用の一巡に加えて、シャイアーの業績寄与も表面化し急回復の展開になっています。

 大型M&A効果が業容の拡大に順調につながっている格好です。デング熱ワクチンの2022年度欧州承認見込みなどをはじめ、引き続き多くのパイプラインを抱えています。

マクニカ・富士エレホールディングス(3132・東証プライム)

 半導体商社で独立系では国内トップクラスの規模です。2015年4月に、マクニカと富士エレクトロニクスが経営統合を行い設立されました。アナログ、メモリー、その他ICなど半導体製品の取り扱いが中心で、用途別では産業機器、車載向けなどが主力です。ほか、ネットワーク事業なども展開し、同事業ではセキュリティ関連分野に注力しています。

 2022年3月期営業利益は367億円で前期比95.6%増益となりました。世界的な需要拡大を背景に、半導体製品の販売が増加しました。ネットワーク事業でも、セキュリティやクラウド関連商品が伸長しました。年間配当金は前期比倍増の100円としています。

 2023年3月期は390億円で同6.2%増益の見通しとしています。幅広い市場において強い半導体需要の継続を見込んでいます。働き方改革などを背景に、セキュリティ関連ソフトの増加なども見込んでいるようです。年間配当金は同20円増の120円を計画しています。

 2021年3月期以降、半導体需要の高まりがストレートに反映される形で、売上高、営業利益の成長ペースが加速化する状況となっています。新型コロナ感染拡大を契機としたリモートワークの普及は、セキュリティ関連分野の拡大傾向も強まっているとみられます。

 新規の中期経営計画では、2025年3月期営業利益480億円以上を見込んでおり、とりわけ、ネットワーク事業の成長を期待しているようです。