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チャンピオンというのは、高みに達するまでプレーを続けるものです - キング夫人(元テニス選手)

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 BLS(米労働省労働統計局)が3月4日に発表した2月の雇用統計は、NFP(非農業部門雇用者数)が+67.8万人となり、市場予想(+40.0万人)を大きく上回った。前回1月のNFPも+46.7万人から+48.1万人に上方修正された。

 米国の雇用市場における非農業部門雇用者数は、2020年4月から2022年2月までの22ヵ月間で、 合計で約1,950万人増加した。新型コロナによって2020年2月と3月の2カ月間で失われた2,156万人にはまだ約206万人足りない。とはいえ、就業者数は平均すると毎月+52.7万人増えているので、今後もこのペースを維持するなら今年6月には、雇用市場はコロナ前の状態に戻ることになる。

 FRB(米連邦準備制度理事会)は、雇用市場が「完全雇用」の状態に戻ったとの判断で、来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げする予定だ。FRBが新型コロナ対策として緊急利下げに踏み切ったのは2020年3月3日。それからほぼ2年でFRBは利上げサイクルに入る。FRBの金融政策が、雇用安定よりも物価安定(インフレ抑制)を重視する方向へと完全に切り替ったことを意味する。

 雇用促進とインフレ対策のトレードオフ(失業率を低めようとすれば物価の上昇圧力が強まり、物価を安定させようとすれば失業率が高まる)において、インフレが可処分所得を圧迫し、政策が支援すべき人々にダメージを与えているかどうかを計測した結果、これ以上の流動性供給はメリットよりデメリットの方が大きいとの結論にFRBは至ったのだ。

 平均労働賃金は、前月比+0.0%で横ばい、前年比も+5.1%と予想を下回った。これは飲食業などに携わる、比較的低賃金の従業員が大量に労働市場に復帰したことで賃金の「平均値」が下がってしまったから。統計的な理由で労働賃金が下がったように見えるだけで、むしろ採用が急増していると捉えるべき。アトランタ連銀による賃金追跡調査によると、労働賃金は過去最大の上昇率となっている。

 その一方で、平均週間労働時間が増えたのは、労働力不足が従業員の残業という形でしわ寄せされているということで、労働市場のひっ迫を示唆している。

 2月の労働参加率は、62.3%へ僅かに上昇。労働参加率はコロナ禍前の2020年2月(63.4%)よりも1.1ポイント低く、いまだにその差を埋められていない。しかし、プライムエイジと呼ばれる25-54歳の働き盛り世代の労働参加率は、コロナ禍前の83%には及ばないまでも82.0%から82.2%へ力強く伸びた。失業率が低下するなかで、プライムエイジの労働参加率の上昇は明るい兆しといえる。

今週の 重要経済指標

出所:楽天証券作成