今日の為替ウォーキング

今日の一言

夢を諦めるのは生きるのを諦めることだ

We Are Never Ever Getting Back Together

 FRB(米連邦準備制度理事会)と市場とのコミュニケーションが、最近上手くいってないようです。FRBは利上げサイクルを0.5%の大幅利上げから始めるのか、それとも細かく連続するのか。バランスシート縮小と利上げのどちらをより優先するのかなど、FRB高官が異なった見解を次々と示すため、マーケットが混乱しています。

 タカ派のセントルイス連銀のブラード総裁は、7月までに1.0%の利上げを主張するなどかなり過激な意見を展開。ブラード総裁は今年投票権を持っているので無視できない。かといって、パウエル議長が出てくると、発言自体がFRBの決定事項と解釈されて相場をミスリードしてしまうおそれがある。やはりFRBの御意見番だったクラリダ副議長が、先月14日に辞任したことが大きいようです。

 新型コロナが猛威を振るい米経済再開の見通しがまったく不透明だった時に、FOMC(連邦公開市場委員会)は、政策のフォワードガイダンスに関して重要な変更を行いました。政策のフォワードガイダンスを従来の「今後数カ月」といったような、期間を定めた定量的なガイダンスから、最大雇用と物価安定の目標達成に向け「一段の著しい進展があるまで」という、数字では表わせない定性的なガイダンスへと修正したのです。

 パウエル議長は、物価安定(インフレ率)に関しては「目標に達した」ことを認めています。では完全雇用はどうか?実はこの定義を巡ってFRB内部で見解の相違があります。パウエル議長は、最大雇用に向けた十分な「進展」があれば十分との意見ですが、ブレイナード理事は目標の「実現」を望んでいます。

 来月3月16、17日に行われる会合で、FOMCは利上げを含む重要な金融政策を決定します。しかし、 その前に、その決定に影響を与える可能性のある米雇用統計とCPI(消費者物価指数)の発表がある。さらに注意しなくてはいけないのは、雇用統計の翌日からは「ブラックアウト期間」で、FOMCメンバーは金融政策に関して発言することが禁じられてしまうこと。

 マーケットとの意思疎通がうまくいかない状況のまま、雇用統計やCPIのデータが大きく振れたら、利上げを巡りマーケットの憶測がさらにたくましくなるのは避けられない。新御意見番のブレイナード副議長の登場はいつになるのでしょうか。

今週の 重要経済指標

出所:楽天証券作成