ビザ(V)

 世界ナンバーワンのクレジットカードシェアを持つ決済テクノロジー企業で、200を超える国と地域でデジタル決済を提供しています。1958年の設立以来、すべての人がいつでもどこでも利用できる、最も優れた決済方法を提供することを理念としています。

 時価総額は4,790億ドルで、日本円で約55兆1,000億円となっています(1USD=115円計算)。

事業の注目ポイント

 事業は「決済代行事業(Payment services)」の単独事業となっています。2022年1月27日に発表された第1四半期決算によると、四半期売上高は、約8,117億円(7,059M$)でした。

 事業サービス別の内訳は「決済サービス収入(Service)」が約3,672億円(3,193M$)、「決済データ処理収入(Data processing、決済サービスにアドオンされるその他のサービス売上)」が約4,156億円(3,614M$)、「国際取引決済収入(International transaction)」が約2,500億円(2,174M$)、「その他収入(Other)」が約516億円(449M$)となっています。

 収入に対して、「顧客インセンティブ支出(Client incentives、カード利用額に応じて銀行や小売業者などのカード発行会社などに支払う報酬)」は約2,726億円(2,371M$)の支払いとなっています。

業績動向

 同四半期決算によると、予想を上回る結果となり、純収入が前年比24%増の71億ドルとなりました。各国で国境がいったん再開された9~11月に旅行関連支出が大幅に増加したことや、オンライン消費が増えて決済額が増加したようです。

 前年期2021年9月期の第2四半期までは不調が続いていましたが、ワクチンの普及などにより世界の経済が正常化していく中で消費が活発化し、第3四半期以降は2020年の業績を大きく上回っています。(売上は、前年同期比で、第3四半期は26.7%増、第4四半期は28.6%増)その結果、通期では過去最高の売上となりました。

初心者が取引する際に見ておくべき点や注意点

 世界中で使用されるVISAカードの決済金額は、世界経済が発展して消費が増えれば増えるほど、その額が膨らんでいきます。世界のGDP(国内総生産)をみると、2040年ごろには倍増し、2050年まで年平均2.6%のペースで成長し続けると言われています(IMF2016年推計より、PwCが予測)。

 つまりは、カード業界でトップシェアの地位を持つVISAの業績も、比例して伸びることが想定されます。

 ただし、2021年末にアマゾン・ドット・コムが英国のサービスで米ビザのクレジットカードの取り扱いを終了すると発表(その後取り扱い継続することに)したように、決済手数料の引き下げや同様の決済サービスが拡充することでシェアや利益率が落ちる可能性には注意が必要です。

株式の注目ポイント

 決算は良好でしたが、バサント・プラブCFOが「国境を越える旅行が2023年夏まで、新型コロナウイルス禍前の水準に達しない公算が大きい」と述べたことで、まだ消費動向の冷え込みを懸念していることが起因となり、株価は一時的に下落しました。

 しかし、2021年末には一時的にコロナ禍が落ち着き、消費が回復したことから株価も上昇し、直近四半期の決算発表後は相場全体が下落しているにもかかわらず上昇しています。

 配当は増配を続けていますが、利回りでは0.5~1.0%辺りで推移しています。安定した業績に注目し、相場の変動にも左右されにくい長期保有銘柄として検討してはいかがでしょうか?

株価動向

株価:228.39ドル(約2万6,270円)
配当金:1.50ドル
配当利回り:0.65%

 この銘柄の権利落ち日は2月10日(権利実施は3月1日)です。配当利回りは2月4日時点で0.65%、株価は228.39ドルでおよそ2万6,270円から購入できます(1USD=115円計算)。

 2019年からの最高値は250.93ドル、最安値は128.13ドルとなっています(終値ベース)。

 配当利回りは高くありませんが、やはり積極的な自社株買いを実施しており、巨額の株主還元策も株価をささえている要因となっています。